2025年4月11日金曜日

FUJIFILM GFX 100RF登場!〜1.2億画素のレンズ一体型中判コンデジの威力は?〜

FUJIFILM GFX 100RF (FUJIFILM HPより)
レンズフード・フィルターアダプター付き(マップカメラHPより)

背面レイアウト



話題のレンズ一体型中判カメラ、FUJIFILM GFX 100RFがついに4月10日発売開始となった。久々の所有欲を刺激するカメラだ。1.2億画素の大型センサー(ラージフォーマット)搭載。それをコンパクトなボディーに凝縮させ、機動性と富士フィルム独特の色再現性、超高精細がスナップ感覚で堪能できる画期的な新製品だ。レンズは本機用に新たに開発されたFUJINON SUPER EBC GF 35mm/4(35mm換算で28mm相当)。シャッターはレンズシャッターと電子シャッターのハイブリッドで、コンパクト化、静音に貢献している。もちろんストロボは全速同調だ。高画素を活用したアスペクト比選択、デジタルテレコン(ズーム)が特色で、単焦点レンズ一体型でも多様な画角での撮影を可能にする仕掛けだ。ただどちらもポスプロでクロップ、編集できるので、個人的にはそれほど使わない(Leica Q3も同様)が、撮影時にファインダーでフレームを変えながら作画するトレーニングをしてみようかという気にさせてくれる。それが本来の写真撮影の王道のはずなのだし、せっかくEVFの視認性が良いこともあり、そういう撮影法も身につけておく必要があろうと感じさせるカメラである。アスペクト比設定もデジタルテレコン設定も、右手グリップ側で握ったまま容易に操作できるようになっている(例えば縦長撮影もカメラを傾けなくてもアスペクト比変更でできる)ため、むしろどんどん使ってみたい。ただしこれらの機能はJPEGのみでRAW撮影では使えない。その場合は同梱のCAPTURE ONE、ないしはLightRoomとPhotoshopは対応済みなのでポスプロで現像、クロップが可能。

また、外装はFUJIFILM初のアルミ削り出しの高品位な金属ボディーで、パーツも金属部材にこだわっている。ルックスも掌転がし感も最高のお道具に仕上がっている。シャッターダイアル、露出補正ダイアル、アスペクト比選択ダイアル、マルチファンクションダイアル3個、デジタルテレコン切替レバー、EVF切替レバー、と金属パーツが多用されており、金属カメラフェチにはたまらない。ボタンやダイアルが多すぎるとクレームするライカユーザのようなミニマルなデザインを好む人には相容れないかもしれないが、ライカ使いでも個人的にはこのメカニカルなデザインも大好きだ。いかにもカメラを操っているという感覚がたまらないのだ。

しかしなんといってもこのカメラの最大のメリットは、ラージフォーマットセンサーの1.2億画素という高画素機であること。そして16bitRaw撮影が可能。ライカのM11, Qシリーズのフルサイズセンサー(いわゆるライカ判)の1.7倍の大きさ、画素数では6000万画素の倍だ。超高解像度、高感度耐性、色再現性に優れた中判カメラの世界。それでいて735gという軽さ。これまで中判といえば大型で重い機材に三脚という重武装がつきものであったが、機動性に優れたレンズ一体型カメラにコンパクトに凝縮されわけで、街中スナップ、「ブラぱち」に使えることになった。これは革命的だ。富士フィルム中判カメラのラージフォーマットセンサーサイズは、基本4:3の比率なので標準アスペクト比も4:3になっている(ライカ判フルサイズセンサーは3:2)、従って28mmといってもやや狭くて30mmほどの感覚。もちろん3:2を選ぶこともできる。下記の作例(電車、パンジー)は4:3で撮影している。このように、これだけクロップしてもまだ十分な画素数で画質が劣化しない(ギザが出ない)のが(高画素なので当然と言えば当然だが)驚きだ。デジタルテレコン63mmでも2000万画素あるのだから余裕だ。手振れ補正機能がないので気をつけなくてはならない。しかしホールドは良いし、アベイラブルライトでASA感度を上げて(ASA6400ではノイズをほとんど感じない)高速シャッター(しかもレンズシャッター)で撮ることができるので、手持ちでも夜間撮影などもカバーできそうだ。

最短撮影距離は20cmなのでかなり寄れるが、開放f値が4なので、ボケはそれほど期待できない。近接撮影といえばQ3 28mmマクロが一番寄れる(17cm)し、開放f値も1.7なのでボケ味も美しい。本機はやはり中判カメラなのでテーブルフォトや花の近接撮影よりも、パンフォーカスを使った中・遠景写真、スナップ、人物写真に向くだろう。使っているうちに色々な新しい可能性を発見できるだろう。ワクワクする。

そして、当然ながらRAWファイルだと一枚の画像のデータサイズが100MBを超えるなど、データ量が倍増するのでポスプロ用のパソコン、ストレージのグレードアップが必要。カメラ内でのRAW現像とJPEGでの保存もできる。どのようなワークフローで作品作りするか自分なりのものを決めておく必要がある。またサイズオーバーでFBやインスタ、このグログにもリサイズしなければ直接アップできない。iPhoneとの連携アプリが便利だが、ダウンサイズする必要がある(アプリにその機能あり)。「そもそも中判カメラ使ってインスタか」という声が聞こえてきそうだ。

もちろんFUJIFILMのレガシー、フィルムシミュレーションも、PROVIA, VELVIA始め20モードが選択できる。カラーマネジメントという、世界を席巻したフィルムメーカーのお家芸はここにも生かされている。また、付属品もフジツボ型フード、フィルターアダプター、プロテクトフィルターが同梱されている。これらも金属度が高く、ボディーに劣らない高品位な作り。ただフード、アダプターを装着すると薄型ボディーのメリットが失われる、と不満を漏らす人もいるようだが、いやいやこの方がカッコいいし、レンズのプロテクトにもなる。ちなみにこのフィルターアダプターは独特の仕様で、これがないとフィルターがつかない。その代わり、これで防塵防滴性能を確保している。ついでにストラップが肩パット付きのロープに。しかも長さが165cmで斜めがけができる。パーツ、付属品にもこだわるGFX100RFだ。カメラはやはり工芸品的お道具でなくちゃ。

久々に、「おおっ!」という新製品が出てきた。よりコンパクトなX100Vも人気で品薄状態だが、個人的にはセンサーサイズ(APS-C)で敬遠した。このラージフォーマットのGFX100RFなら文句なしだ。しかし操作感やユーザインターフェースはX100シリーズやX-Prosシリーズと共通しているので扱いやすい。レンズ一体型フルサイズセンサーのLeica Q3, Q3 43の好敵手でもある。早速試し撮りをしたが、なんといっても圧倒的な高精細画像に息を呑む。クロップしても画質が落ちないのは余裕のセンサーのためだと改めて納得する。大型センサーをどう生かすか。どのような新たな画作りが可能なのか。「ライカ兄弟」との撮影シチュエーションごとの住み分けも一考の余地がある。そしてコンパクトで取り回しが非常の良いのが気に入った。とりあえずのファーストインプレッションは極めて良い感じなので、これからどんどん使っていこう。手になじみその中から新たな世界が広がりそうだ。







Fujifilm初のアルミ削り出しトップカバー

Leica Q3(with Hand Grip)との比較

軍艦部比較
Q3より一回りオーバーサイズか。

Leica Q3 43で撮影
このメカニズム感がグッとくる


主なスペック:

画像センサー:GFX 102MP CMOSII 1.2億画素ラージフォーマット 

画像エンジン:X-Processor 5 

レンズ:Fujinon Super EBC GF f=35mm 1:4 (35mm換算28mm)固定焦点レンズ(8群10枚 非球面2枚)最短撮影距離20cm

シャッター」レンズシャッター+電子シャッター

EVF:0.5型有機EL , 576万ドット、視野率100%

液晶モニター:3.15型 210万画素、アスペクト比3:2  チルト、タッチパネル

メモリーカードスロット:SDカード2スロット

内蔵NDフィルター(4段分)

動画撮影 4K

給電:USB-C

外装/デザイン:金属カメラ度満点のアルミ削り出しトップ。パーツも金属で統一

デジタルテレコン切替:45mm (35mm),  63mm (50mm),  80mm (63mm) 括弧内は35mm換算

アスペクト比:4:3を標準に9種類

Fujifilmの特色であるフィルムシュミレーション:PROVIA, VELVIAなど20モード

重量:735グラム(バッテリー込み) 中判カメラとしては軽量

サイズ:Q3より一回り大きい 133.5/90.4/76.5



試し撮り(JPEG):

アスペクト比4:3 28mmフルサイズ

上記写真から電車部分をクロップ

3:4 28mmフルサイズ

上記写真から真ん中のパンジーをクロップ

フルサイズ(1:1スクエアー)
4:3 28mmフルサイズ

スクエアー1:1クロップ近接撮影(20cm)

3:4 クロップ50mm相当

4:3 RAWファイルをLRで現像

4:3 JPEG撮って出し

4:3 LRでクロップ

2025年4月5日土曜日

2025年桜レポート第三弾:毎年恒例の目黒川と御殿山の桜

今年の桜開花は遅かった。暖かくなり開花したと思ったら一転、寒波到来で雪。昨日は終日の冷たい雨。今日は久しぶりの快晴でお花見日和になった。なんとか雨にも負けず散らずに頑張ってくれた桜が嬉しい。恒例の定点観測、目黒川(五反田、大崎、品川)と御殿山の桜を愛でた。穏やかで春めいた城南の桜の名所だ。やはり良いものだ。

日本がお花見で浮かれている季節。世界は不穏な動きで嫌な空気が漂い始めている。今日からトランプが鉄鋼、アルミニウム、自動車に25%関税を実行。さらに昨日(4月3日)、ロシアを除く各国に上乗せの相互関税適用を発表した。自由貿易主義をやめて保護主義貿易体制へと逆戻りさせるものだ。ターゲットは中国ばかりではなく自由主義陣営の同盟国ばかり。肝心の中国(政府は抗議し、対抗関税を発表した)とロシア(関係ない)は屁とも思っていない。日本には24%の追加関税。世界中が大混乱だ。早速抗議と対抗関税宣言の応酬。各国市場は株価下落でパニック。日経平均も1日で大暴落。なんとアメリカのS&Pもナスダック、ダウも大暴落。ドル145円まで下落。MAGAじゃなかったのか!まるで自爆行為。「薬には副作用はあるものだ」「国民はアメリカが繁栄を取り戻すまでに時間がかかるから我慢してくれ」!「各国は報復関税はやめて我慢してくれ」? ホワイトハウスの説明は全く支離滅裂で身勝手極まりない。こんなことすればアメリカは2度と繁栄の時代を取り戻さないし、世界も繁栄しない。戦争になる。自由貿易体制は終焉を迎え、1920年台の大恐慌、そして保護関税障壁で分断の時代に逆戻り。あの時はドイツと日本を追い詰めて第二次世界大戦になった。今度も危険水域。

満開の桜を見ながら、この桜もやがては散りゆく、と妙な厭世的感想を抱き、デストピアの妄想が吹っ切れない。今年の桜は不吉に見える。散り際の美しさといった風情を感じない。


1)目黒川(五反田、大崎界隈)
















目黒川の花筏:4月8日現在






2)御殿山界隈


翡翠博物館

ミャンマー大使館






御殿山庭園





庭園手入れに余念がない





(撮影機材:Nikon Z8 + Nikkor Z 24-120/4)

2025年4月3日木曜日

2025年桜レポート第二弾:養玉院如来寺の桜

「大井の大佛」として名高い「五智如来」の古刹養玉院如来寺。前回は紅葉の季節に参拝したが、ここは秋の紅葉も良いが、春の桜も良い。いやこの季節に探訪するのは初めてである。瑞応殿横の大きなソメイヨシノの大樹の他に、境内や墓園には枝垂れ桜や珍しい種類の桜、桃、椿、花蘇芳などが色とりどりに咲き誇る。今まで気づかなかったが、春は特に「花の御寺」といって良いほどの華やぎ様である。世の中が騒がしい時こそ訪れたい、観光客も来ない静謐な境内。阿弥陀如来と五仏のおわす金剛界曼荼羅の世界とそれを彩る桜花が美しい。

秋の如来寺探訪記、縁起由来はこちらから→2024年11月5日養玉院如来寺の「五智如来」



「五智如来」が鎮座する「瑞応殿」とソメイヨシノ





 




東海道新幹線が横を走る


本尊「阿弥陀如来」の「無量光院」










大日如来を中心とする「五智如来」の金剛界曼荼羅

乙女椿との競演

花蘇芳

境内


参道沿いにも美しい花々が咲き誇る

本堂「大雄寶殿」のリフレクション桜

お地蔵様

寄り添う



枝垂れ桜



(撮影機材:Nikon Z8 + Nikkor Z 24-120/4, Laica Q3 42, Leica 11-P + Tri-Elmar-M 16-18-21/4))