オリンパスのE-P1は、マイクロフォーサースフォーマットのデジタルカメラで、一眼レフ特有のペンタ部がないコンパクトな外観で人気商品の一つだ。
往年のオリンパス・ペンFの外見もペンタプリズムを廃し、ダッハプリズムという当時画期的な光学技術を用いたスマートな独特のボディー形状となっていた。そういう意味では、デジタル化されて同じ外見を継承したことはファンにとって嬉しい限りだ。
ただ、往年のオリンパス・ペンFユーザは、お小遣いをコツコツ貯めて買いそろえたペンF用のコンパクトなズイコー交換レンズ群を付けて撮りたいではないか。それでこそデジタル化したオリンパス・ペンFの復活だ。
ペンFは35mmフィルムの半分、すなわちハーフサイズ用カメラなので、35mm換算でレンズ焦点距離は40mmなら1.3倍の約50mm相当となる。フォーサーズフォーマットなら2倍となるので、40mmのFズイコーレンズは80mmの中望遠レンズとなるはずだ。
ところが、意外にペンF⇔マイクロフォーサースマウントアダプターがない。
オリンパスからもパナソニックからも純正アダプターはラインアップされてない。その他のブランドメーカーからも、このF用だけがリリースされていない。
どうやら香港製のモノがある、無名のガレージメーカが出しているそうだ、という噂は聞いていたが、実際にお目にかかることはなかったので、ほぼ諦めていた。
先日、福岡へ行ったとき、時々ぶらりと立ち寄る天神のカメラ屋のショーケースを覗いてみると、たまたま発見。探している時はないが、忘れた頃に見つかるもんだ、こういうたぐいのモノは。
どこの製造か全く表示もない(PEN-m4/3と白抜きで刻印してるが)が、とりあえず使ってみる。
ボディー側のマウント外周にはローレットが切ってあり取り付け時の手がかりがよい。カチッと装着。しかし、レンズ側のマウントが甘い。ガタガタする。取り付けたズイコーレンズのフォーカスリングをまわすと、マウントロックが外れてしまう。無限大ピンとも少し甘い。工作精度はいまいちだ。
写りはさすがに、最新のデジタル専用のレンズのようなシャープさとコントラストの良さはないが、「そうそうこんな写真だったよ、あの頃撮ったのは...」というノスタルジックなテイストが出ている。シーンモードでポップアートを選んで撮ると面白い。遊べる。
しかしFズイコーレンズ装着した姿はなかなかのもの。コンパクトでスマートなE-P1ボディーにコンパクトなFズイコーレンズ。とにかく「デジタルオリンパス・ペンFの完成です!」マウントリングの出来上がりは「いただきました、☆三つです」とはいかないが、Fズイコーレンズ群を生かせるデジタルオリンパス・ペンFの復活にマニアックな一人喜びの感動を味わってる。