2018年3月31日土曜日

桜華散策番外編 〜日本橋さくら通り〜

 東京駅八重洲口から日本橋茅場町まで続く通りを日本橋さくら通りという。ここはさくらの季節になると、都会とは思えぬような美しい桜並木となる。ソメイヨシノばかり169本あるそうだ。特に丸善、高島屋あたりまでの通りが華やかで美しい。パリやロンドンのプラタナスの並木路、ブエノスアイレスのハカランダの並木道、ニューヨークのハナミズキの並木路、大連のアカシアの並木路など、世界には美しい並木路がある。必ずしも大きな通りではないがちょっとした小路がはっとするほど美しくて瀟洒であったりする。ここ日本橋さくら通りは、日本を代表する美しい都市の並木路といっても良いと思う。都市にはそれにふさわしい街路景観があるべきだ。それがその国、街を象徴する樹木であれば尚更嬉しい。電柱の立ち並ぶ都会の街路は美しくない。最近は日本も随分電柱の地下化が進んでいる。ただ惜しむらくは日本の街路には、いまだに看板や電飾がほぼ無制約に掲示されていて、世界の、特に欧米の歴史と風格を誇る都市景観と対比される。もちろん香港やロンドンのピカデリーサーカス、ニューヨークのタイムススクエアーのように電飾と看板が独特の都市景観を生み出しているところもある。しかし、これらは一定のルール、すなわちこうした看板、電飾で飾り立てて良い地区を定めているわけで、無制約に町中に広がっているわけではない。

 さくらの季節の日本は美しい。それ以外の季節と全く異なる景観が現出する。そしてその華やかさは短く、一週間もすると、桜吹雪とともにまるで何もなかったかのように風景から消えてゆく。そうした一瞬の煌めきもよいが、いつも素敵な景観を維持していきたいものだ。銀杏並木や「銀座の柳」もいいんじゃないか。福岡の「けやき通り」の景観も美しい。「オリンピックに向けて環境整備」という目標が、あの1964年の時のように語られる今日だが、そんな国家的イベントなんか無くっても日頃から自分たちが暮らす街を美しく保っておきたいものだ。日本も銭ゲバの高度成長時代を過ぎて、熟年期に入ったのだから成熟した都市環境を整えていってはどうなのか。街路樹をまずは植えよう。電柱をなくそう。物欲、性欲、食欲を刺激する看板や電飾を減らそう。公私の区別無く歩道に放置される自転車をなくそう。資本主義的な合理性から抜け出せない人たちは、「景観」が街の「資産」になると考えるようになろう。

 今回の撮影機材はLeica SL + Vario Elmarit-SL 24-90。ズームこの一本。こうした都市風景を撮るには十分。今の所故障も発生せず、いつものように筋トレなみの重量感を感じながらではあるが、思いの外フットワークよく取り回しもよい。SLのいいとこはEVFの見えの良さ。視野率も0.8倍と高く、440万ドットという他に類を見ない高解像度。マニュアルフォーカスでもフォーカスアシストを利用して拡大表示なしでも確実にピント合わせできる。ファインダーガラスにコーティングを施した光学ガラスを使用する凝りよう。これならミラーレスもバカにしたものではない。ファインダーの見えは非常に大事だ。写欲を左右する。
 さて、ここしばらくLeicaが続いたので、次はmy favorite Nikonでいきたい。