「むかし奈良の人この地に移り住み地名を奈良本と呼べり」(水神社縁起より)
伊豆奈良本の里は師走の陽光に包まれ穏やかである。ここは古代の大和奈良から人が移り住み地名を奈良本と称した土地。背後が天城山、前面に相模湾と伊豆七島。奈良の都に比べれば辺境の地なのだが、何と伸びやかで美しい土地なのか。飛鳥京/平城京での数々の政争のの結果、敗者に仕立てられ、流されて歴史に名を残さなかった人々の落人の里である。伊豆は断崖絶壁の海岸線と険しい天城越えで奈良の都から隔絶された遠流の地なのである。しかし、険しい峠を越えてみればそこは温暖で海を見渡せる豊穣の地。都の権力闘争、陰謀、讒言に明け暮れる浮世(憂世)よりも、より人間らしい人生を送ることのできる穏やかな地であった。この地に人々は安らぎと平和を得たことだろう。やがてここを一族の安住の地とし、子孫を残し永代の繁栄を築いた。平和な人生は決して歴史に描かれることはない。歴史は血生臭い話ばかりなのだから、歴史に記述されなかったからこそ良い人生であったに違いない。
立派な高野槙の生垣、見事な屋敷林に囲まれた集落を歩く。
|
ひなつるそば
|
|
なんきんはぜ
|
|
やしゃぶし
|
里を歩けば、年月を重ねた巨樹が至る所に。
|
水神社の御神木 |
|
奈良本の守り神「水神社」 |
|
みかんの季節 |
|
江戸城築城用に切り出した石の残骸があちこちにある。 |
|
観光客向け、というより地元の農家同士の新鮮採れたて野菜・果物の朝市 まさに地産地消 |
|
そして山里から相模湾と伊豆の島々が望める |
(撮影機材:Nikon Z8 + Nikkor Z 24-120/4)