毎年、桜の季節になると訪れる御殿山。江戸時代は徳川将軍家の品川御殿があり、鷹狩りや東海道を往来する賓客をもてなすために利用されたという。その後焼失し、吉宗は、その跡地を庶民に開放し桜を植えた。以来、飛鳥山とともに江戸っ子の桜の名所となった。しかし、幕末になると、お台場を築造するために、御殿山と八つ山を崩して土を取り、明治になると山を開鑿して鉄道を通した。おかげで、御殿山はずたずたになってしまい、江戸の桜の名所も消え失せてしまった。明治には政財界人の邸宅が立ち並ぶセレブな土地であった。現在は教会とホテルとマンションになって、御殿山公園なるものが復元されている。公園と通りに桜が植えられていて、往時の面影を彷彿とさせる。
明治以降は政財界人のお屋敷街であった御殿山も、今は昔の物語。こうした邸宅は次々と姿を消してしまい、益田鈍翁の邸跡はマンションやミャンマー大使館となってしまった。そして、最近まで旧原六郎邸の一角にあった原美術館が閉館してしまい、今日行ってみたら、あのモダン・クラシックの建物は跡形もなく取り壊され、マンションの建設工事中であった。なんともまあ... 御殿山では昔からスクラップ・アンド・ビルドが繰り返される。満開の桜を見て、この景観がいつまで続くのかとため息を吐く。
レトロ・モダンな原美術館は取り壊されて、跡地でマンション工事中 |
翡翠美術館の桜 |
御殿山を降ると目黒川河畔のあのビル 今年も見事なリフレクション |