2025年6月2日月曜日

「MAGAだよ!」と君が言ったから6月2日はファントム記念日 〜あれから57年、九州大学も米軍板付基地も、そしてパクスアメリカーナもどこかへ行っちまったねえ〜

 あれは今から57年前の1968年6月2日の出来事だった。九州大学に建設中の大型電算機センターに板付基地に着陸しようとした米軍のファントム戦闘機が墜落炎上したのは。人的被害は出なかったのは不幸中の幸いだが、ベトナム反戦運動、70年安保反米闘争、大学紛争真っ只中の時期に、学生運動の炎に油を注ぐ出来事であった。まさに「飛んで火に入る夏の虫」。それ見たことかと一気に反米闘争が盛り上がった。そもそも九州大学は(戦後にできた)米軍板付基地の侵入路の直下にあって、離発着機の騒音でしばしば授業が中断されるという全国、いや全世界でも稀な環境の大学で、いつこういうことが起きてもおかしくなかったのだが、よりによってこんなタイミングに!

その後、米軍基地は1972年に返還されたが、板付飛行場は民間の空港へと変身。都心に近い日本一発着密度が高い福岡国際空港になり、今年には滑走路も2本に増えて騒音と危険度は以前にも増して高まるばかり。とうとう九州大学はこの建学以来の伝統あるキャンパスを放棄して糸島の田舎に移転してしまった。かくして更地になってしまった旧帝国大学跡地にはぺんぺん草が。くだんの電算機センターも綺麗さっぱり取り壊され痕跡もない。

それにしてもあの頃の学生運動のエネルギーはすごかった。「孤立を恐れず連帯を求めて」。その学生が社会に出て企業戦士に。「24時間戦えますか」。そうして高度経済成長、グローバル化の嵐の中で悪戦苦闘し、「世界に冠たる経済大国!」「ジャパン・アズ・ナンバーワン」。やがてバブル崩壊で思考停止の30年。あの時の血気盛んな学生も、いまや燃え尽きた「昭和老人」に成り果ててしまった。あの大学キャンパスは「夏草や兵どもが夢の跡」。あのアメリカはもうファントムを他国で飛ばす余力も気力もないだろう。「オレは同盟国に搾取されてきた!」などと喚きながら、そして混乱を世界中に撒き散らしながら、関税というオモチャで遊ぶ自分さえ良ければよい MAGA引き篭り老人に成り果てる。さらばアメリカ帝国主義、さらばファントム、さらば憧れのアメリカ。

「MAGAだよ!」と君が言ったから6月2日はファントム記念日

「諸行無常」「驕れるものは久しからず」



1968年6月2日夜 米軍ファントム戦闘機、九州大学に墜落炎上(西日本新聞)

一夜明けて(朝日新聞)

突き刺さったままの米軍機(毎日新聞)