2010年10月15日金曜日

Fukuoka Bayside City 新たなる創造へ

 先週の全国規模のコンファレンスは福岡の新しい顔、シーサイド百道にあるヒルトンシーホークホテルであった。4000名を超える参加者が集まる大規模な会議であった。
これまでは横浜のパシフィコ横浜や神戸のポートアイランドシティーで開催されて来たものが,今年は福岡で開催された。

 この辺りはまるでリゾートのような心地よさを持ったエリアだ。あるいはシカゴのレイクショアードライブを彷彿とさせる。あるいはワシントンDCのタイダルベイスンか。サンフランシスコのフィシャーマンズワーフか、ロスのサンタモニカか,ホノルルのワイキキビーチか、と言うと褒め過ぎかも。少なくとロンドンのドックランドエリアよりはかっこいい。特に博多湾の美しさが近代的な都市景観にマッチしている。

 福岡には大きなコンファレンスの出来るホテルが少ないのが欠点だが、ここシーホークは十分欧米やアジアの新興都市のそれに対抗出来る設備と景観を有していると思う。

 特に、ここシーサイド百道はアジア太平洋博覧会で新たに埋め立てられ,人工的に創出された新都心だ。しかし、その設計思想は新しいビジネス拠点と、住み心地のよい住空間と、豊かな自然と、人工的ではあるが海岸線をけがさない景観との調和が活かされているように思う。福岡市が取り組んだ成功事例と言われている。

 だいたい役所が取り組んだ再開発プロジェクトで旨く行ったものは少ないがここは例外だろう。その成功に気を良くして取り組んだ二番煎じの上川端地区再開発や巨大な人工島アイランドシティーのプロジェクトとよく比較される。同じ時期に民活で行ったキャナルシティーの成功もあってますます、あとの二者のケースが悪く言われる。

 私の幼少期を過ごした懐かしい今川橋や、樋井川、百道や地行の海水浴場はなくなってしまったが、後世に誇れる新しい福岡の顔が出来た事が嬉しい。すっかり変わってしまったのに何度来てもなつかしさえ覚えるのが不思議だ。確かに、博多湾に浮かぶ志賀島や能古の島、玄海島の風景は今も昔も変わらずにある。

 ところで日本にはコンファレンスシティーという概念が薄い。いまだにせいぜい京都くらいが日本を代表する「国際会議」都市だったりする。国際的なコンファレンスを誘致する動きは世界の主要都市やリゾートの間で活発だが、なぜか日本ではあまり活発でない。欧米では大掛かりなコンファレンスやトレードショーは地元にとって大きなビジネスチャンスなのだ。シンガポールや香港もそうだ。それを見逃す方はないのだが。

 福岡は,おそらく日本におけるこうしたコンファレンスシティーの代表格になってもおかしくないと感ずる。
まず、成長著しい東アジアの国々とのアクセスがよい。釜山とは3時間の高速船で直行で結ばれている。飛行機ではソウル、大連、北京、上海、香港へは東京よりも近い。福岡空港は世界でももっともアクセスのよい空港の一つだ。新幹線は東京や大阪のみならず鹿児島を繋ぐ。高速道路網も整備され九州各地の神秘的なリゾートへも簡単に到達出来る。

 福岡市には20世紀的な重厚長大産業をシンボライズする工場群が見当たらない。海に面した日本の都会は,たいてい海岸ベリがこうした工場で占拠されている。お隣の北九州市とよく対比されたものだ。皮肉にもこれらがなかったことが21世紀的な町の発展には幸いする。なにより町の規模が適度で洒落たカフェや素敵な食事を提供するレストランが多い。しかもとてもリーズナブルなプライス... 町並みが美しい。祭りや芸能などの文化の香り豊かな土地柄である。学生が多く若者の町である。水辺が美しく都市の景観に彩りを添えている。まるでリゾートと言ってもよい雰囲気を持っている。歴史的な景観や自然豊かな風景が破壊されずに残っている。世界的に見ても非常にバランスのとれた都会と言えよう。

 福岡に足りないものは、国際級のホテルだ。それと自分たちの町がそのようなポテンシャルを持った町だ、という市民の認識だ。そしてそのポテンシャルを活かそうという行動だ。世界的に見ても福岡は決して遜色のない魅力を持っている。もう少しブラッシュアップすればさらに言うことはない。過去の歴史を振り返ると中世博多の黄金の日々を除くと、特色のない平凡な地方通過都市,支店文化の町であった時代が長いので世界的に知る人が少ないだけだ。
 これからだ、さらなる進化を遂げるのは。かつて大航海時代のオランダの地図にはIaponiaの西に島にFacataという都会が記されている。再び世界地図に福岡/博多が復活するのだ。

 故郷である福岡がこのように大きく変貌し、さらにグローバルな評価を得られる町に発展して行くと思うと興奮する。決して東京を向いてその都市の進化の過程を真似をしては行けない。look eastではなくてlook west.だ。独自の道を創造することだ。アジアに向けて開いた国際都市としてのアイデンティティーを確立することだ。