2018年12月1日土曜日

2018年紅葉探訪 〜京都南禅寺界隈編〜






 去年の秋は上洛かなわず、今年こそは京都の紅葉を!と切望していた。ちょうど11月の最終日に大阪で会合があり、この出席に合わせて念願の京都の紅葉を一目見てゆこうということになった。時期的には今が紅葉真っ盛りだが、やや、見頃過ぎて枯れている木もある。でもまあ良いタイミングといって良いであろう。紅葉の季節の京都は兎に角人が多い。東福寺、永観堂、北野天満宮御土居など、有名どころの寺社は早朝から門前に列をなし、この時期限定の拝観料を払って、中ではもみくちゃになりながら紅葉を見る。人を見に来たのか紅葉を観に来たのかわからない状態だ。本来なら静謐な環境の中で、心を落ち着かせて入山し、鮮やかに燃える紅葉見て初めて心ときめかす。こうありたいのだが、そうはいかない。鉄道会社の「そうだ京都 行こう!」などのキャンペーンに誘われて人が溢れ返る。私もその一人なのだから仕方がない。今回は時間の制約もあるので、アクセスが良く、さっと行って、さっと空気を吸って帰れるところを選んだ。そうすると南禅寺とその界隈ということになる。なんども来ていて様子がわかっている。何よりも拝観料がいらない。お隣の永観堂には足を伸ばさず、そのまま、野村碧雲荘、清流亭などの南禅寺界隈別荘群地区へ流れて、無鄰菴へ足を運んだ。人も多かったが、南禅寺は広大な寺域を有しスペースもあるので、自分のペースで、好きなアングルで紅葉を楽しむことができる。そこが好きだ。イチョウは散ってしまっていたが山門の紅葉はまだ紅色。特に個人的に好みのアングルは山門脇の紅葉越しの逆光ショット。門前の人出も、この場合この季節の京都らしい点描になるので、むしろ避けずに積極的に画面に入れてみる。これが南禅寺だ。賑わいが表現されて悪くない。以前、ここから永観堂、真如堂、金戒光明寺と回った時も、それぞれに美しくて感動したが、今回はショートカット版で我慢することにした。野村碧雲荘は、以前、冬の季節に庭園を見学させてもらったが、今回はもちろんノーアポで外から眺めるだけ。一本の紅葉が生垣越しに鮮やかであった。最後に山県有朋の別荘、無鄰菴に立ち寄る。こちらは公開庭園である。普段は人も少ない落ち着いた庭園も、この時期は人で溢れていた。紅葉も鮮やかだ。帰りは、京阪東山三条駅まで歩いた。途中、あの東山魁夷が描いた「年暮る」の京町家の甍連なる(かつて連なっていた)地区を抜けた。要法寺は健在だが、街並みはやはりすっかり変わり果ててしまっていて、東山魁夷の世界の面影はない。ところどころ町家の痕跡が残ってはいるが、周囲のマンション、プレハブ住宅の波に早晩飲み込まれてしまうだろう。残念だ。まあともあれ駆け足であったが東山、南禅寺界隈の紅葉を堪能することができた。これで心置きなく正月を迎えることができそうだ。
















 以下は、南禅寺界隈別荘群地区。ここまで来ると観光客は激減し、静かで落ち着いた佇まいのお屋敷外周を見物させてもらうことができる。もとは南禅寺の塔頭が軒を並べていた地区だが、明治以降それが廃絶となり、別荘地として売りに出された。琵琶湖疏水を引き込む庭園を造営できるということが人気となり、政財界の大物たちが競って別荘を構えるようになった。どこも非公開だが、無鄰菴だけは公開されている。

新築の邸宅も周囲の環境によく調和させている

野村碧雲荘

無鄰菴庭園








(撮影機材:Leica CL, Vario-Elmar-T 18-56 ASPH,  APO-Vario-Elmar-T 55-135 ASPH,  Super-Vario-Elmar-TL 11-23 ASPH)