2023年5月1日月曜日

新緑の自然教育園を散策する 〜「葦原中つ国」に「青人草」現る!〜

新緑が輝く森を歩く

 

白金の国立自然教育園は、正式には国立科学博物館附属の分園である。ここは4〜500年前の室町時代には地元の豪族「白金長者」の居館跡と言われ、江戸時代には讃岐高松藩の下屋敷。明治になると陸海軍弾薬庫、大正時代には白銀御料地。戦後の1949年に、全域が天然記念物に指定されて公園として都民に公開された。「白金長者」が如何なる人物であったのか、江戸時代になってからの文書にその伝承があるだけで詳細は不明である。「今は昔、お屋敷に白金をしこたま溜め込んだ長者様がいたそうな。それでここが白金と呼ばれるようになったとさ」といった民話の世界の話のようだ。敷地内に古い土塁が残っており、ここが城ないしは砦として構築されていた時期があったようだが、時代の特定はできていないようだ。園内の高松藩下屋敷の痕跡は、他の大名屋敷のような遺構が顕著に残っているわけではなく、巨大な松や、庭園に作られたであろう池の痕跡にその面影を見出すくらいで、ほとんどが自然に帰っている。白金御料地の面影は、その南西部の旧朝香宮邸跡(現在の東京都庭園美術館)に留めている。現在は、下記写真のように、白金台地に、ぽっかりと緑の塊が取り残されたような自然の森となっており、大都会の真ん中の貴重なオアシス空間である。その南西の一部が、先述の東京都庭園美術館(旧朝香宮邸跡)、東の一部が駐日台北経済文化代表部(旧亜東協会)、老人ホームとなっている。

森歩きが大好きな私にとっては、貴重な空間である。鬱蒼とした広葉樹林と水生植物園、水辺の湿地帯、路傍の珍しい草花を一つ一つ観察しながら歩く。そんな時間に癒される。まさしく「葦原中つ国」を彷彿とさせる湿地帯に佇めば、我々が「青人草」であることを思い出させてくれる。



自然教育園HPの表紙より

自然探索路入り口

意外に目立たないところにある

黒松

「物語の松」旧高松藩下屋敷の松であろう

スダジイの巨木

ムクロジの巨木


ショウブ

ノイバラ

チョウジソウ

チョウジソウ

ヤマブキソウ

ゼンマイ

キジムシロ

二人静



「葦原中つ国」の姿、斯く在らん

ひょうたん池

「葦原中つ国」に「青草人」一人



園内図(自然教育園HPより)



(撮影機材:Nikon Z9 + Nikkor Z 24-120/4)