2011年1月22日土曜日

奈良に春を告げる若草山山焼き ー 平城宮跡から ー





奈良に春を告げる...とは言っても、ここんところの寒さで,とてもそんな感じではないが、今日は恒例の若草山の山焼き。午後6時に花火が打ち上げられ、全山が明るく照らされる。午後6時15分、花火が終わると,山の麓で待機していた地元消防団員が一斉に枯れ草に点火。火は瞬く間に山肌を駆け上り、若草山は炎に包まれる。

初めての山焼き観覧は平城京趾の寒風吹きすさぶノッパラから。西大寺駅から延々と歩き、撮影ポイントを探す。早くも5時頃には三脚で陣取りするカメラマンのオヤジさん達の姿がそこかしこに... 皆元気だ。なぜかこんなに広い所なのに,三脚がカタマッて林立している。

こちとらも撮影ポイントを決めて三脚にカメラセットして待機。やっと午後6時。辺りはいい感じに暗くなって来た。観光ポスターにあるような、若草山全山真っ赤な炎。その上に花火2〜3発...なんて光景を想像していると拍子抜けするかもしれない。あれは多重露光という写真合成テクニックを使う有り得ない光景なのだ。脳内で重なるイメージの世界だ。今回はオーソドックスに一枚一枚攻めてみる。

寒い中、長い時間待った甲斐があった。荘厳で美しい炎の響宴。奈良の街を明るく照らし出す。平城京趾からはちょうど真東に奈良の市街と若草山、三笠山の全景を見渡すことが出来る。コレだけ遮るもののない平べったい野っパラはそうない。結構良いポイントだ。

この他の山焼き絶景ポイントは薬師寺東塔,西塔が美しくシルエットになって映える、西ノ京大池辺り。こちらは昼から場所取り競争だとか。次回がんばろう。

終盤にかけての残り火が山稜をシルエットに写し出して美しい。約一時間程のショーを満喫した。
さて,帰るか、と機材をかたずけて、ふと見回すと、すでに辺りは漆黒の闇。どうやってここまで来たのか道も見えない。野っパラには街路灯もまばらにしかない。遠くのライトアップされている大極殿を目印に暗闇をセッセと歩いて、なんとか西大寺駅へ向う道に出ることが出来た。

しかし、暗闇の平城京は何か物の怪でも出そうな雰囲気である。異様に光輝く大極殿はまるで怨霊達のたまり場のように妖艶に漆黒の闇に浮き上がっていた。