2011年5月15日日曜日
當麻寺お練り供養 ーおねり第2弾ー
新緑美しい當麻の里。さわやかな風が吹き渡っている。
5月14日は當麻寺の練り供養の日。中将姫を二十五菩薩が極楽浄土へ迎える、という。日本のあちこちで行われる「おねり」の元祖がここ當麻寺の練り供養だという。
ついこの間、大阪平野の大念仏寺のおねりを観たばかりだ。おねりづいてる。おねり第2弾!
実は事前にあまり調べもなく,行き当たりばったりで出かけたので,何時から始まるのか、どのようなプログラムになっているのか分からないまま午後一時頃ぶらりと到着。おねり開始は午後4時だ!3時間も時間をつぶさなくては... 當麻寺や當麻の里は幾度か来ているのでこの辺りの大抵の名所は見てしまっている。
有名な西南院の牡丹と石楠花がそろそろ終盤を迎えていたが、なかを覗いてみた。門を入ると眼に飛び込んで来たのは西塔を背景に白い大きななんじゃもんじゃの木。見事なものだ。山肌にも新鮮な緑と細かい白い花をつけた木が素敵なグラデュエーション模様を描き出している。
それにしても今日は五月晴れの良い天気。次は竹内街道の方向へ散策する。以前、竹内街道から當麻寺へ歩いたことはある。緑が鮮やかになり、いたるところに花が咲いて山の景観をを美しく彩っている。瓦堂池の辺りに黄色い菖蒲が咲いている。新緑が常緑樹の濃い緑と水面に映えて美しい。竹内古墳群を中心に造成された史跡の丘公園は手入れがなされてないので荒れ放題だが、山そのものは新緑で美しく彩られている。かえって人が手を入れない方が良い。自然を生かすつもりの自然破壊になりかねない。
取って返して、今度は當麻の里へ降りての田圃や畑を散策すると二上山を背景に甍の波に鯉のぼりがたなびく。童謡を思い出すのどかで平和な光景が広がる。路傍の花がけなげに咲いている。當麻寺の二塔が里の向うにそびえていて、昔からここは極楽浄土に近いあこがれの地であることを物語るような風景だ。
この初夏を思わせる天気の中での散策で結構のんびりした時間を楽しむことが出来たので、そろそろ當麻寺へ戻る。後一時間でお練り開始だ。
境内にはすでに大勢の人が集まって来ている。集落のはずれの普段はのどかな農道には車がイッパイ路上駐車している。当麻寺駅からの参道はぞろぞろと大勢の参拝客が寺へ向う。老若男女を問わずこんなに大勢の参拝客が集まった當麻寺は初めてだ。参道と境内には店がたくさん出ている。普段は静かな里が今日はにぎやかだ。
おねりは本堂からのびる来迎橋という,長い渡り廊下を通り、阿弥陀堂で折り返して本堂へ戻る。一時間程のおねりなので中将姫の輿が出て、短いお稚児さんの行列が終わると、わりに早く次々と二十五菩薩のお出ましとなった。この間の平野の大念仏寺の二十五菩薩のお出ましに先立つ2時間の様々な行列、とは違ったのでホッとした。
また、平野の大念仏寺のおねりでは専門の僧が菩薩役となっているが、當麻寺では地元の一般の人が選ばれて参加するのだそうだ。写真を撮っていると、おばあさんが「えろうすんまへんが、ウチの人がおねりに出てるんでっけど写真撮ってもらえまへんやろか」と声をかけて来た。もちろん喜んで「いいですよ」。伺うと、地元の人でもなかなか希望通りにいかず、これに参加出来るのはかなり晴れ晴れしい出来事だそうだ。この人の場合,「ようやくこの歳になって番が回って来ましてん」と言っていた。お年は聞かなかったが...
そういえば,ここでは必ず菩薩に紋付羽織袴の付き添いの人が並んで歩く。菩薩様が一人ではないのは面を着けて渡り廊下を歩くのが危ないからだろうか? 菩薩役の人もシロウトだからか、なんかたどたどしい歩き方だったり、お面がズレてて、菩薩様が首を傾げているように見えたりで、微笑ましい。
写真を撮る時は事前によく調べるべきだった。撮る方向によってはこの付き添いの人が邪魔になって菩薩のお顔が見えない。ううン、やっぱり行き当たりばったりはイカン。でも一応の写真は撮れたと思う。後で郵送すると、お礼の手紙に、ご自身が撮った牡丹の写真が添えてあった。なんとも心が和む。こちらこそありがとうございました。
やはりここも観光客と言うよりは近隣の人々が集まって来て年に一度のおねり供養を楽しむ、という雰囲気であった。別にお年寄りや寺の檀家や講の団体さんばかりではなく、家族連れはもちろん若者のデートコースにもなっているようだ。一見場違いな今風のカップルもいる。子供達はカラフルな水飴を練ったり、これまた赤や黄色のかき氷食べたりしながら、キャピキャピと楽しげに駆け回っている。古来から宗教行事と地元の娯楽が一体であったことを目撃したように気分だ。せんとクンが何げなくいて,手を振っている。子供達にはエライ人気で、「せんとく〜ん」の黄色いかけ声が五月晴れの境内に響き渡っていた。
アクセスマップ:
http://goo.gl/maps/8MVo