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2013年11月3日日曜日

Nikon Df 発表! 〜オールドニコンファン待望のデジタルF3?登場〜

ニコンは常に堅実で技術オリエンテッドな製品を世に出し続けてきた。たまにクールピクスやニコン1のような畑違いな製品群を出して、「鎧着た武士」がチャラい女の子にモテようとしたことはあるが。その結果ライバルであるキャノンや最近は富士フィルム、ソニーなどにシェアーを奪われデジカメ市場で苦戦しているようだ。硬派は硬派で通した方がブランド価値が高まるというものだ。

 最先端のデジタル技術とプロに絶大な信頼を有するニコンブランド。どっちかと言うと武張っていて、あまり遊びの要素を感じないブランドイメージに一石を投じようと、企画されたのがこのDfだそうだ。5日の製品発表会では、登壇した開発者は「肩肘張らずに気軽に持ち出してください」とアピールしていた。「肩肘張ってたのはオタクでしょう」とか、「これでも気軽に持ち出すには大きすぎるんじゃあ」とか、あまのじゃく言いたくなるが、そんなことよりも私は一目で気に入った。無骨で堅牢でしかもクラシックな往年のニコンテイストを兼ね備えたDf。F3に憧れ、FMで我慢してようやくF3を手に入れたら、デジタル一眼レフD70が出てきてフィルムF3はお蔵入りしてしまった、という切ない経験を持つ私。待ってましたよ、デジタルF3!こういうものは一目惚れで決まる。私の一目惚れは間違いないのだから。カクカクシカジカまじめなニコン!まじめな私にぴったり!

 Dfのfは、fusionのfだそうだ。すなわち最新のデジタル技術とクラシックな伝統と融合させてみた、ということだ。D4と同じ1625万画素フルサイズCMOSセンサーと画像エンジンを搭載している。背面のパネルや操作系はD800やD4を彷彿とさせる。一方で外見はペンタプリズム部など往年の名器F3にもFMシリーズにも似た雰囲気だ。軍艦部にはアナログチックなダイアルが所狭しと並んでいてゾクゾクする。旧Aiレンズはもちろん、非Aiレンズも使用できる。永久不滅のFマウントがしっかり生かされている。ニコンレンズ資産を防湿庫の奥に死蔵していたファンにはうずうずする話だ。まさにフュージョンだ。ボディーはシルバーが鮮烈なイメージだが、やはり黒の方がいい。この無骨で堅牢な形状が何とも言えない。

 アメリカの人気カメラブロガーSteve Huff (http://www.stevehuffphoto.com/2013/11/05/nikon-df-is-here-pre-order-with-special-edition-lens-now-2996-95/)が、Facebook上にNikonDfとSony α7とLeicaM240の外見比較写真を載せている。彼の評論はいつも比較的フェアーで面白いのだが、この意図的な比較写真に寄せられた読者のコメントがとりわけ面白い。

 「ニコンは大きくてゴツゴツしている。ライカの方が美しくてカッコいい」
 「ライカはセクシーだがニコンはアグリー(醜い)」
 「ニコンはなぜ軍艦部にこんなにゴテゴテとダイアルを乗っけているんだ。ライカの方がシンプルでいい」
 「やっぱりライカを愛する気持ちがより確かになった」
 「ニコンののDSLR機能に期待するが価格が法外だ」(ライカの価格はそっちのけにして...)
 「ライカはカメラ界のアップルだ」(アップルは地図以外はそんなにバグは無いぞ)
 etc.

と、おおむねライカをひいきするコメントの羅列だ。こういう実機が手に入らない段階での外見比較自体がそういうファーストインプレッション的なコメントを誘導するものなので、Leica好きのSteveの意図通りなのだが。国によってカメラの好みや評価が違う点が面白い。ちなみに、一眼レフ市場では日本では先述のように、デジイチの市場ではセクシーな(?)キャノンが無骨なニコンの人気を上回っているが、欧米ではニコンの方が上だ。dependable, durable, robust Nikon(ナイコン)のブランドイメージが染み付いている。私の知り合いでカメラに凝ってるヤツは皆ニコン!ニコンを所有することがステータスになっている。一方のファンがライカを所有する喜びをかみしめるように。

 私はライカもニコンも両方のファンだから、偏った評価は下したくない。そもそもニコンとライカは相互に対決する二者択一関係ではなく、シチュエーションにより使い分ける相互補完関係だと考えている。気合いを入れて撮影に出かけるとき、じっくり撮る風景写真や自然写真はニコン。おしゃれに街角スナップや人物ポートレートはライカ、というように。だから、技術論は別にして、比較して論争することにそれほどの意味がある訳ではない。まして上から見た外見比較だけで、優劣を論じるのはナンセンス。

 しかし、ここまで「ライカだから好きです」的なライカファンのニコンブーイングコメントが羅列されると、ニコンファンでもある私も、冷静な論理よりも感情が先に立って、つい熱くなって反論したくなる。まことに大人げないと思う。趣味人の世界の議論にそれほどの合理性は無いのだが、あえてプロニコンコメントすると、

 「そりゃ道具としての信頼性はやっぱりニコンでしょう」
 「堅牢なニコンが好きだ。バグが多くて信頼性に欠けるライカより...」
 「ライカはもっとデジタル性能の向上と安定性の努力してほしい」
 「コストパフォーマンスを考えるとニコンだ。ライカの価格合理性は疑問」(レンズは別だが...)
 「ライカはデジタル化にまだ逡巡があるんじゃないか? Mレンジファインダーの亡霊から抜けきれていない」

 ああ、とうとう言うてやった!さらに、冷静さを失った熱狂的なライカ原理主義者たちに冷水を浴びせるとすると次の言葉がいいだろう。

 "Das Digital Leica ist der Koenig, Aber der König ist ja nackt!"

 もっとも、私の心の中にいるもう一人の自分は、「ライカは技術的合理性や、価格合理性で論ずるカメラにあらず」と言っている。ニコンの新製品の話をしているのに、最後はライカの悪口になるくらい、ライカは気になる存在なのだ。結局、趣味人の「好きだから好きだ」、「嫌いだから嫌いだ」みたいな論争だってことか。

 ともあれ、ニコンの、「カメラは家電製品ではないぞ」メッセージを前面に押し出したようなDf、ビデオ機能など削ぎ落とした硬派なDf。いいねえ!これからもキャノンともソニーともパナソニックとも富士フィルムとも異なる頑固な道を歩んでほしい。ミラーレスなんてコスト削減軟弱路線に妥協せず、堂々とペンタプリズムを搭載するところなど、レンジファインダーにいまだにこだわっているライカと相通じる生き方かもしれない。



(クラシックな雰囲気のNikon Df.シルバーと黒、どっちもいいなあ!)





(Steve HuffのFacebookページに掲載されている比較写真。うえからNikon D610, Nikon Df, Sony α7, Leica M。いずれもフルサイズセンサー機。それにしてもSony α7の小ささが際立っている。)