Asahiflex I |
独立行政法人 国立科学博物館は9月3日、「重要科学技術史資料」(愛称:未来技術遺産)として新たに26件を登録したと発表。そのうち小型精密カメラ3件が含まれている。 「重要科学技術史資料」とは、科学技術を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことを目的とする登録制度。2008年から実施している。
1)ハンザキャノン
精機光学研究所
1935年(昭和10年)
国産初の35mmフォーカルプレーンシャッター付きレンジファインダーカメラ
2)アサヒフレックスI
旭光学工業
1952年(昭和27年)
国産初の35mm一眼レフ
エバーリターンミラー搭載
3)ニコンF
日本光学工業
1959年(昭和34年)
クイックリターンミラー搭載、完全自動絞り、ファインダー交換、
完成されたシステムカメラとして世界を席巻した
国立科学博物館の報道発表資料:
2019年度「重要科学技術資料」(愛称:未来技術遺産)登録
以下は発表資料からのPDFを引用。
へえ!という訳で押入れの中の「お宝の山」を探してみた。ハンザキャノンは、とても貴重な文化財級のカメラで手に入らない。当然だが我がコレクションにはない。ニコンF(やっこさんロゴ:NIPPON KOGAKU TOKYO)は我が家のニコンエコシステムの長老よろしくデスク正面に鎮座ましましている。あとはアサヒフレックスI。ゴソゴソやっていると出てきた!うん十年前、秋葉原の中古カメラ屋で買ったものだ。すっかり忘れていた。当時はペンタックスSPが人気で、この古色蒼然たるI型はほぼジャンク扱い(いわゆる研究用、部品取り用)で投げ売り状態であったことを思い出した。しかし、今回の発表をきっかけに、押入れから助け出してみると、シャッターもきちんと切れる。レンズもカビていない。Takumar 50mm F.3.5スクリューマウントがついている。なかなかメカニカルで金属カメラ感満点のお道具だ。このころの日本製は堅牢で壊れない。メカニカルカメラはメンテさえきちんとすれば半永久的に使える。うん十年ぶりに陽の目を見たその雄姿をご紹介しよう。
ファインダーを折りたたんだところ。AOG:Asahi Optical Gaishi?)、Asahiflexロゴが誇らしげだ
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メッキの質などはドイツ製のライカやコンタックスにはかなわないが、なかなか立ち姿が美しいカメラだ
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レンズはTakumar 50mm f.3.5。マウントサイズ35mm口径のスクリューマウント。自動絞りにはなっていない。レンズはコーティングが施されている。金属鏡胴が美しく、重量感がある。最近のエンジニアリングプラスチック製のレンズにはない品位を感じる。
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そしてニコンF。あのライカM3の衝撃のレンジファインダーの登場から苦節5年。一転して一眼レフへ転換してブレイクスルーに成功した、今やレジェンダリーな成功物語の主役、そのカメラだ。以後、日本のカメラ産業が世界を席巻することとなる。
ニコンエコシステムの頂点に立つニコンF初号機。我が家のカメラコレクションに君臨する長老だ、点検してもらったがシャッターも全速完璧。メカも異常なし。レンズもカビ、クモリ無し。少しグリースが抜けているが、トルクはある。製造から六十年経過しているとは思えない矍鑠たる姿立ち居振る舞いだ。
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軍艦部のNIPPON KOGAKU TOKYOロゴ(いわゆるやっこさん)は初号機のみ。この後からはNikonロゴになる。ペンタ部のFが誇らしい。
このペンタ部は取り外しが可能で、ウエストレベルファインダーやのちに出された露出計内蔵ファインダに取り替えることができる。システムカメラとしての発展が約束されたボディーである。
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