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JR大井町駅 |
高輪ゲートウェー、品川駅と鉄道沿線沿いに連続して進められているJRによる再開発事業の波が、ついに大井町にも及んできた。東急大井町線の北側のJR車両センター(旧国鉄大井工場)の敷地の一部が再開発の対象。かつてJR社宅(旧国鉄アパート)があったところ、そして一時「劇団四季」シアターがあったところ。大井町駅直結の複合商業施設ができるという。大井町にもこの大手デベロッパーが大好きな「大型複合ビル」がニョキニョキと建ち始めた。それにしてもまあ、どこへ行っても同じ規格、どれもこれも何の変哲もないGlass & Steelのビルばかり。東京は個性のない都市景観が連なる街へと変貌中。今回の再開発エリアには入っていないが、大井町名物「せんべろ」横丁も風前の灯か😵「昭和は遠くなりにけり」だ。
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空には羽田着陸の飛行機が、地上には高層ビル建設のクレーンが |
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東急大井町線駅に隣接する「大井町TRUCKS」 |
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それにしてもどこも変わり映えしない「規格品のプレハブビル」ばかり |
大井町は戦後の焼け跡復興商店街が今も残る街だ。トレンディー、ファッショナブルなどという、賞味期限の短いすぐに陳腐化する街ではない。大井町線で繋がるお隣、おしゃれな街で人気の自由が丘が周辺建物の老朽化に伴い、例の「複合再開発ビル」化しようとして揉めている。この町の「おしゃれな」佇まいに複合施設ビルは必要なのかと。何でも高層ビル化すればいいってもんじゃないだろう。ビルが陳腐化すればデベロッパーはまた建て替えする。壊しては作り、作っては壊す。そうして金を回す。この資本の論理のもとでは歴史や文化や情緒が棲みつく間もない。大井町も高度経済成長以来の再開発で街は変わったが、その中にポツポツとその戦後の痕跡が残る地区がある。バブル崩壊までは京浜工業地帯の一つの中心であった大井町。国鉄や紡績会社(カネボウ)や、製薬会社(第一三共)、日本光学(ニコン)などの大手、それに関連する中小工場が集まり多くの勤労者で賑わう街であった。その頃の残影が残る地区は多くは飲食店街で、庶民にとって懐に優しく、戦後を知る昭和老人にとっては懐かしい街となっている。人気のB級グルメの店や安くて美味い居酒屋などもあり、いわゆる「せんべろ」横丁が今も健在だ。限られた土地、狭い通りに店舗が密集する地区なので地震や火事を考えると、行政としては取り壊して安全な防災街区に「再開発」したいのだろう。実際、最近も火事が発生している。しかし、この何とも言えない路地の奥に愛おしい昭和の佇まいを感じる人が多いのもまた事実。赤提灯、縄のれんが再開発複合商業施設ビルのテナントになってしまっては情緒なしだ。経済合理性一本槍の「規格型ブレハブビル」や「複合商業ビル」の対局をなすこの無規格で非合理的カオスがたまらなく愛おしい。有形資産価値:tangible value VS 無形資産価値:intangble value 、資本主義的合理性と非合理性。これらがが同居する大井町。うまく調和すればそれが新たな町の魅力になるのかもしれない。
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「東小路」入り口
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この人気店も火事に見舞われた |
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「大井新地横丁」 |
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2023年11月の火事で12棟が消失した。人的被害はなかった。 今も再建の見通しが立っていないようだ
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