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2014年6月24日火曜日

明日香村細川の棚田 談山神社から飛鳥石舞台への道


 明日香村には稲淵や細川に美しい棚田がある。稲淵では、秋に案山子祭りが開催され家族連れに人気スポットになっているが、ここ細川は、西に傾く太陽が棚田を赤く照らす夕景が人気。晴れた日の夕刻にはスゴイ数の写真愛好家が列をなして撮影に訪れるという。この辺りは多武峰談山神社から飛鳥石舞台へと続く冬野川沿いの谷あいに広がる棚田だ。狭い傾斜地に稲作を実現させて来た先人の苦労が忍ばれる見事な棚田だ。さらに、これを今に伝える農家の方々の努力も大変なものである。大和棟の古い農家は少なくなったが,美しい瓦屋根の民家が点在する棚田風景は,飛鳥の歴史の奥深さと相俟って、貴重な風景遺産である。遠くに葛城/金剛山、二上山を望む棚田は日本の原風景だ。

 多武峰談山神社は藤原鎌足を祀る,藤原氏縁の神社。その背後にそびえるのは御破裂山(おはれつやま)。何ともすごい名前だが、もともと火山であったそうだ。ここで中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏打倒の密議を交わしたと伝えられており、かたらい山(談山)の名前の由来となっている。確かにこの山の頂に立つと、足下にそのクーデターの現場、板蓋宮が見える。蘇我氏の居館のあった甘樫丘も、法興寺(飛鳥寺)も手に取るように見渡す事が出来る。

 その多武峰からこの谷筋の道を下ってくると,そこには嶋の大臣蘇我馬子の墓と伝えられる石舞台古墳がある。古代の二大権勢家を結ぶ因縁の道だ。今は、棚田と民家の美しい景観が広がり、平和でのどかなこの谷あいの道も、時代を動かした人々の足跡が残る道である。路傍の一木一草に古代人の息づかいすら感じる。






明日香村細川の棚田
御破裂山(談山)からの眺望。二上山と手前は畝傍山
                路傍に咲き誇る季節の花々...