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2021年5月5日水曜日

「目黒インテリア通り」を歩く 〜ブラタモリ風「なぜ目黒通りはインテリア通りになったのか?」〜

 


目黒通りは、山手通りとクロスする大鳥神社交差点から、碑文谷、自由が丘あたりまでの数キロの間は「家具屋通り」あるいは「インテリア通り」と呼ばれている。なんと60〜70店ほどの様々な個性的な家具屋、インテリアショップが並ぶ。日本はおろか世界的に見てもこれだけの家具、インテリア関連ショップが建ち並ぶ通りはユニークだという。なぜこのような家具屋街、インテリア通りになったのかについては、後ほど解明してみたい。さて、JR目黒駅の西口を出て長い権之助坂を下り、目黒川を渡って歩くと山手通りとの交差点、大鳥神社を過ぎる頃からはまた上り坂となる。この通りは結構な高低差があることに気づく。この界隈は古くは目黒川を谷筋とする地形に開かれた街並みということになる。ちなみに目黒通り沿いに「元競馬場前」というバス停がある。ここには1907年(明治40年)から1933年(昭和8年)まで目黒競馬場があった。ここで日本初の日本ダービーが開催されたが、わずか開催2年で閉鎖となった。ここには1マイル1600メートルのコースがあったが手狭であったことと、周辺が住宅地化していったことから、競馬場は府中に移転し現在のJRA中央競馬会東京競馬場となった。今でも重賞レース「目黒記念」にその名残を見出すことができる。住宅がびっしりと建ち並ぶ現在の街並みを見ると、ここに競馬場があったこと自体が不思議な感覚だが、かつては手狭な競馬場とはいえそれなりの広さを確保できる余裕があったのだろう。わずかにトラックのカーブの痕跡が住宅街の路地に残されている。


目黒競馬場の古写真(Wikipediaより)

ここでブラタモリ風「タモ手箱」が登場する!お題は「なぜ目黒通りはインテリア通りになったのか?」Ready? Go!

この通りは横浜から都心に向かう幹線道路で、沿線には自由が丘、碑文谷、学芸大学などの高級住宅地があり、セレブ御用達の店やレストランなどが立ち並んでいた。中でも目黒通り沿線には多くの外車ディーラーが並び、かつては「外車通り」との異名を持っていたという。一説では、そんなセレブ通りだから高級な家具/インテリアショップが進出してきたという。が、ちと話が出来過ぎていてやや「都市伝説」的である。もちろんそうした顧客向けの家具/インテリア店が存在していたことは事実であろうが、実際にはバブルの時代を過ぎ、その外車ディーラーの多くが撤退し、その跡地にインテリア関係の店が進出してきたというのが真相のようだ。確かに一定の敷地を確保できるし、地域柄からもセンスの良い顧客層がいるだろうということでこうした店が集まってきたとしてもおかしくはない。またフランスの雑誌ELLE DECOに取り上げられて海外でも一時話題になったことでますます出店が増えていったという。評判が評判を呼ぶという相乗効果だ。しかし出店している店は、必ずしもセレブ御用達の高級店ばかりというわけではなく、時代の移り変わりを反映して最近は若い世代向けやカジュアルで個性的でユニークな店が多い。北欧、イタリアン、ブリティッシュ、アメリカンから和風、アジアン... アンティークからレトロモダンな家具屋、オーダーメイド家具やインテリア装飾を手がける工房もあり、決して敷居の高いお店がズラリというわけではない。むしろ小洒落た小型の店舗も多く、ロンドンのポートベロやエンジェル、カムデンタウンのような骨董市的なテイストを漂わせる店も多くブラブラと見て回るだけでも楽しい。また通りにはこれまた素敵なカフェやレストランも並んでいるので歩き疲れたらふらりと寄るのもまた良い。

今回は、GEOGRAPHICAという英国アンティーク家具、骨董を扱う比較的大型のお店を訪ねた。三階建てのロフト風の建物で、地下には重厚なマホガニー家具、一階は洋骨董、二階がカフェ、三階にはオークやウォールナットの書斎家具が並ぶという英国好き、ブリトラ(British Trad)にはたまらない豪華な店だ。直営の工房を併設していて英国で買い付けた骨董家具の修復、補修を行っている。ちょうど「Travel Notes」という旅行をテーマとしたフェアーを開催中で、旅行書や19世のガイドブック、ポストカードなどのアンティーク小物、英国伝統のティーカップ、銀スプーンなどの食器、アクセサリーなどが比較的手頃なプライスタグで並んでいた。今回はいつもお世話になっている神保町の北沢書店さんがコラボ出店していて、素敵な洋古書を展示、販売。これまたクラシックな本棚に並んでいた。アンティークな英国家具と革装の洋古書のマッチングは最高で、まるで19世紀英国のカントリーハウスの書斎にいるかのような佇まいであった。この時期英国旅行など叶わぬ「時空トラベラー」にとって至福の時間を過ごすことができた。店内にはカフェレストランもあり、折からの連休で、しかも緊急事態宣言中の「遠出自粛期間中」でもあり、家族連れで賑わっていた。であるからして我々「前期高齢者」は遠慮して退散した。

それにしても東京は奥深い。まだまだ未知のゾーンがあちこちに潜んでいることを再認識した散策であった。


JR目黒駅西口を出て権之助坂を下る

目黒川にかかる目黒新橋

目黒川の桜はもう終わりで新緑が眼に染みる

立派な石柱を持つ橋だ

「元競馬場前」バス停


目黒インテリア通り

古民家活用の骨董店

タイ国大使館


GEOGRAPHICA

目黒通りのインテリア/家具ショップコミュニティーのポータルサイト。目黒インテリアショップスコミュニティー:MISC


(撮影機材:Leica SL2 + Lumix-S 20-60/3.5-5.6)