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2018年12月3日月曜日

2018年紅葉探訪 〜奈良公園編〜


 紅葉を巡る旅の最後は奈良。限られた時間内に錦織りなす秋を楽しむなら奈良公園。まずは、300年ぶりに再建なった興福寺中金堂を拝観。仮金堂から遷座された釈迦如来座像を堂外からも正面に拝観することができる。興福寺は明治の廃仏毀釈で多くの堂宇が破壊され、つい最近まで残っていたのはわずかに五重塔と東金堂そして南円堂、北円堂、三重塔のみ。その五重塔も廃材として当時の金で二十五円(二百五十円という説も)で落札されたが、取り壊しになる直前に周辺住民の反対で取りやめになったという逸話が残っている。この時、興福寺、大乗院、一乗院に所属の僧侶の多くは還俗し春日大社の神官になったといわれている。中金堂は江戸時代に消失して以来再建されなかった。創建1300年の藤原一族の氏寺にして、南都北嶺(奈良興福寺と比叡山延暦寺)としてその勢力を誇った大寺院は、見る影も無い有様であった。境内の多くの築地塀も撤去され(一部痕跡が残っているが)、広大な旧境内の敷地は奈良公園になった。興福寺はこうして奈良公園の中に寺域もはっきりしないまま存在する形となる。

 今回は、興福寺、飛火野、浮御堂、東大寺、大仏池、依水園、吉城園、そして最後に奈良県庁屋上からの展望という2時間ハイライト周遊コースをとった。奈良市内は大阪勤務時代に何度も歩き回ったコースだから目をつぶっていても廻れる。もっともこの紅葉の美しい季節、目をつぶっていては勿体無いのでしっかり目を開け、カメラで出来るだけ多くの紅葉ショットを切り取るよう心がけた。奈良の寺は京都の寺と異なり、国家鎮護の仏教教学の拠点として創建された。むしろ現在の大学のような存在であった。東大寺然り、唐招提寺然り。または薬師寺の世に天皇家の創建になる寺か、この興福寺のような藤原家の氏寺である。国家、為政者の威信をかけた壮大な伽藍を有す巨大な寺院で、現世利益を願い、極楽往生を願う庶民の信仰の場して創建されたわけでなかった。現在でも、京都の寺のように紅葉の名所として、観光客が巡るような雰囲気ではなく、狭い境内や庭園が人でごった返すというようなこともない。しかし、紅葉の穴場スポットは確実にある。観光客で溢れる定番の観光コースから少しだけ離れるだけで良い。観光客はそれを知らないだけだ。こうして穴場巡りをするのが奈良における紅葉探訪の醍醐味だ。

 慌ただしく京都、大阪、奈良と紅葉を巡る旅を楽しんだが、ふと落ち着いて考えると不思議だ。何がって、どうして人はモミジの葉が赤くなったり、イチョウが黄色くなったりするのを見るために東奔西走するのか。春の桜狂躁曲とともに、季節の移ろいを感じる秋の紅葉狂躁曲。慌ただしく早くも「見頃」から「散りゆく」に変わる季節。人は、いや日本人はどうしてこんなに桜や紅葉に反応してしまうのか。観察していると外国人観光客の中国人も欧米人も、紅葉に反応してシャッター切る人は少ない。餌をねだる鹿に盛んにシャッター切っている。四季の移り変わりを楽しみ、自然と共生する。それが温帯モンスーンという「風土」に暮らす日本人の性質なのだろうか。そういえばイギリスの田園。丘陵地帯の黄葉/紅葉も素晴らしかった。ハイドパーク、ケンジントンガーデンのプラタナスの黄色が鮮やかであった。アメリカのアパラチアトレイルやベアーマウンテンの全山真っ赤!という鮮やかな紅葉のスケール感も圧倒的であった。しかし、それを見にわざわざ出かける人も、シャッター切りまくる人もそれほど居なかった気がする。その季節だから道路が渋滞する。列車が満席だ、宿が取れない。そんなことはなかった。山が赤い!綺麗だ!でもそれがどうした?という反応だ。National Geographic Your Shotに紅葉写真を投稿してもそれほどの反応がない。「お花見」や「モミジ狩」騒ぎは日本人だけなのか!ちなみにこのNatGeoに風景投稿してみると面白いことがわかる。日本人にウケる写真とがそれ以外の国の人々にウケる写真が違うことがある。反応が一様なのは「花」の写真。京都の寺の紅葉などの「景観」には潜在的な期待感があるなしでウケが大いに異なることを発見した。面白いものだ。





再建された興福寺中金堂


御本尊、釈迦如来を堂外からも拝める





春日大社表参道から脇にそれてゆく

茶屋



深山幽谷の趣

晩秋





浮御堂


手向山八幡宮
東大寺大仏殿裏の二月堂へ続く道

東大寺大湯屋



東大寺大仏殿裏


大仏池









東大寺大仏殿
東大寺塔頭指図堂前の紅葉
依水園と吉城園


依水園正門


奈良県庁屋上からの展望
東大寺南大門

こんなところに洋館が!
奈良国立博物館
(撮影機材:Leica CL, Vario-Elmar-T 18-56 ASPH,  APO-Vario-Elmar-T 55-135 ASPH,  Super-Vario-Elmar-TL 11-23 ASPH)


2018年12月1日土曜日

2018年紅葉探訪 〜京都南禅寺界隈編〜






 去年の秋は上洛かなわず、今年こそは京都の紅葉を!と切望していた。ちょうど11月の最終日に大阪で会合があり、この出席に合わせて念願の京都の紅葉を一目見てゆこうということになった。時期的には今が紅葉真っ盛りだが、やや、見頃過ぎて枯れている木もある。でもまあ良いタイミングといって良いであろう。紅葉の季節の京都は兎に角人が多い。東福寺、永観堂、北野天満宮御土居など、有名どころの寺社は早朝から門前に列をなし、この時期限定の拝観料を払って、中ではもみくちゃになりながら紅葉を見る。人を見に来たのか紅葉を観に来たのかわからない状態だ。本来なら静謐な環境の中で、心を落ち着かせて入山し、鮮やかに燃える紅葉見て初めて心ときめかす。こうありたいのだが、そうはいかない。鉄道会社の「そうだ京都 行こう!」などのキャンペーンに誘われて人が溢れ返る。私もその一人なのだから仕方がない。今回は時間の制約もあるので、アクセスが良く、さっと行って、さっと空気を吸って帰れるところを選んだ。そうすると南禅寺とその界隈ということになる。なんども来ていて様子がわかっている。何よりも拝観料がいらない。お隣の永観堂には足を伸ばさず、そのまま、野村碧雲荘、清流亭などの南禅寺界隈別荘群地区へ流れて、無鄰菴へ足を運んだ。人も多かったが、南禅寺は広大な寺域を有しスペースもあるので、自分のペースで、好きなアングルで紅葉を楽しむことができる。そこが好きだ。イチョウは散ってしまっていたが山門の紅葉はまだ紅色。特に個人的に好みのアングルは山門脇の紅葉越しの逆光ショット。門前の人出も、この場合この季節の京都らしい点描になるので、むしろ避けずに積極的に画面に入れてみる。これが南禅寺だ。賑わいが表現されて悪くない。以前、ここから永観堂、真如堂、金戒光明寺と回った時も、それぞれに美しくて感動したが、今回はショートカット版で我慢することにした。野村碧雲荘は、以前、冬の季節に庭園を見学させてもらったが、今回はもちろんノーアポで外から眺めるだけ。一本の紅葉が生垣越しに鮮やかであった。最後に山県有朋の別荘、無鄰菴に立ち寄る。こちらは公開庭園である。普段は人も少ない落ち着いた庭園も、この時期は人で溢れていた。紅葉も鮮やかだ。帰りは、京阪東山三条駅まで歩いた。途中、あの東山魁夷が描いた「年暮る」の京町家の甍連なる(かつて連なっていた)地区を抜けた。要法寺は健在だが、街並みはやはりすっかり変わり果ててしまっていて、東山魁夷の世界の面影はない。ところどころ町家の痕跡が残ってはいるが、周囲のマンション、プレハブ住宅の波に早晩飲み込まれてしまうだろう。残念だ。まあともあれ駆け足であったが東山、南禅寺界隈の紅葉を堪能することができた。これで心置きなく正月を迎えることができそうだ。
















 以下は、南禅寺界隈別荘群地区。ここまで来ると観光客は激減し、静かで落ち着いた佇まいのお屋敷外周を見物させてもらうことができる。もとは南禅寺の塔頭が軒を並べていた地区だが、明治以降それが廃絶となり、別荘地として売りに出された。琵琶湖疏水を引き込む庭園を造営できるということが人気となり、政財界の大物たちが競って別荘を構えるようになった。どこも非公開だが、無鄰菴だけは公開されている。

新築の邸宅も周囲の環境によく調和させている

野村碧雲荘

無鄰菴庭園








(撮影機材:Leica CL, Vario-Elmar-T 18-56 ASPH,  APO-Vario-Elmar-T 55-135 ASPH,  Super-Vario-Elmar-TL 11-23 ASPH)

2018年11月30日金曜日

2018年紅葉探訪 〜大阪城編〜




 大阪城公園は外国人観光客でごった返している。特に中国人観光客の数がすごい。ここはどこ?、私は誰?状態だ。光臨歓迎!聞こえてくる言葉も中国語ばかり。ワイワイガヤガヤ賑やかに近ずいてくるおばちゃんのグループの音量に、やはり「言葉がわからんと大声に感じるなあ」と思っていたら、なんや大阪のオバチャンや!。そんなこともあるのが大阪。大阪弁と中国語は韻と平仄が似ているのかもしれない。大阪のオバチャンも中国のオバチャンもカッコつけずおおらかですっきゃね〜! こうした賑やかな大阪城公園の意外な穴場は西の丸庭園。ここには大阪迎賓館と芝生広場がある。江戸時代には大坂城代屋敷があったところだ。結構な広さなのでイベントなので使われるスペースだ。この季節もなんだか電飾満載の夜間ライトアップイベントはあるようで、子供向けの電飾巻きつけられたフィギュア〜がいっぱい用意されていて日が暮れるのを待っていた。要するにイベントがない限りわざわざ入ってみようという観光施設ではない。しかも200円の入園料がいる。このコスパでは大阪人は絶対足を踏み入れない。欧米からの観光客は英語の「West Palace Garden」という魅力的な名前に惹かれて入ってくることもあるが、「金返せ!」とすぐに出てくる。私も大阪在住時、一度も足を踏み入れたことはない。今回、ある会合に向かう途中、時間調整で公園内を通り抜けるついでに、通りかかった西の丸庭園の受付で「中は何かあるんですか?」ととぼけた質問してみた。受付の女性は「中に茶室があってそこのイロハモミジが今真っ赤で綺麗ですよ!」と。聞いてみるもんだ。早速200円払って(ちなみにシニア割はない)初めて中に入った。なんとここからの大阪城天守閣の姿が最高に美しい。何より観光客が少なく、ゆったりしている。これが200円のコスパだ。そして、庭園の一番奥にある生垣に囲まれた茶室前にたどり着く。誰もいない。ここは松下幸之助翁の寄付による豊松庵である。なるほど大阪城を背景に今を盛りに紅葉が真っ赤に燃えている。なかなか見事だ。独り占め状態だ。京都の有名寺院で、行列して何千円も払ってもみくちゃになりながら紅葉見るよりいい。静謐なたたずまいも気に入った。茶室自体は門に鍵がかかっていてて、関係者以外立ち入り禁止。茶道の心得のある人以外お断り!みたいな無粋な看板が立っている。興ざめだ。禁止する方も、ズカズカ入ってゆく方もおよそ茶道の精神とは無縁の輩たちなのだろう。

 さはさりながら、ひととき晩秋のイロハモミジを堪能することができた。200円の入場料は無駄ではなかった。


豊松庵入り口





松下幸之助翁寄贈による茶室「豊松庵」




西の丸庭園からの天守閣が見事
大阪迎賓館

焔硝蔵
徳川大坂城の火薬庫であった
茶室の真向かいにある

西の丸庭園内の遊歩道



(撮影機材:Leica CL, Vario-Elmar-T 18-56 ASPH,  APO-Vario-Elmar-T 55-135 ASPH,  Super-Vario-Elmar-TL 11-23 ASPH)