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2018年4月15日日曜日

Leica CL4ヶ月の使用感 そしてまたまたお小言 〜ドイツの技術力と日本のサービス力〜


Leica CL + M/T Adapter + Summilux-M 50.1.4

純正サムレストは分厚くて、装着すると親指が左ホイールに届かない。
少し削ってやると使い良くなった。
最初からこうしたユーザフレンドリーなデザインになっているといいのだが...


 もうライカは買わない、と決意していたのだが、結局Leica CLを入手する羽目になった。CLにはあまり期待していない、と以前のブログ(2017年12月「LeicaCLデビュー」)で述べたが、Mレンズ資産を有効に使うボディーとして、またSLのサブとして悪くないんじゃないかと再考し始めたわけだ。実際使い始めてみるとなかなか良い「お道具」に仕上がっているではないか。何よりもコンパクト。その割にはずっしりとした質量。デザインはやはりヤボ臭いが、使い始めるとそんなことどうでも良くなる。見やすいEVFファインダー。軽快なシャッター音。どれも感性に訴えかける重要な要素だ。特にファインダーの良さは、ある面ではSL以上かもしれない。写欲を刺激する。またフォーカスアシスト機能が使いやすいので、MやRレンズアダプター経由でのMF使用にストレスがないのが嬉しい。これまでのライカデジタル機は、残念ながら故障、プログラムバグが多くて、ユーザをがっかりさせることがあった。しかし、このCLは、ようやくデジタルカメラとしての安定感、実用機として完成度が高まったと感じる。今のところ気になる故障もバグもない。日常の中で軽快に使用していて手放せない相棒になりつつある。なにより貴重なライカレンズ資産(M、R、T)を手軽に利用できるボディーであるコトが嬉しい。ユーザインターフェースにいろいろ意見はあるが、慣れればそれはそれだ。ようやく実用的なライカデジカメが出てきた。

 と言っていたら、またしてもその満足感に水を差すようなトラブル発生(うんざり。もうこの種の話をしたくないのだが、ライカファンとしてあえて物申す)。昨年の12月にCLを入手し、これにVario Elmar-T 18-56 ASPHを装着して撮影を開始。しばらくは問題なかったのだが、やがてスイッチオンにすると、画面がぼやけてシャッターボタン押しても反応しない。スイッチオフにしても画面が消えない。バッテリーを抜いてリセット。しばらくは復活するが、やがて繰り返しているうちに、「Lens Communication Error」のメッセージ表示が。こうしたことが時々発生するいわゆる「時々断」状態がしばらく続いた。そのうち、スイッチオンにしても全く反応しなくなりご臨終。SLに装着しても同じ状況である。

 早速ライカショップ銀座のサービスに持ち込みチェックしてもらうと、レンズ側のROMが壊れているとのこと。ちなみにカメラCLボディー側には全く問題がない。ROMと電子基盤交換のためドイツ送りで修理に3ヶ月との診断。そもそも「ROMが壊れる」ってどういうことなのか?なぜそんなことが起きるのか? パソコンのメモリーチップで雷害などによる瞬間の過電流などで破壊されることはないとは言えないだろうが、デジタルカメラの微弱電流でそんなことが起きるのか?ともあれ修理を依頼することにした。SLレンズのズーム故障に続き、CL新規導入した途端、Tレンズがまたしても3ヶ月故障者リスト入りで、先発登板不可。なんてこった!まあしばらくはMレンズ中心で撮影することにしよう。

 3月に入ってライカショップ銀座サービスから電話が入った。ようやく修理完了かと思いきや、「ドイツから修理に入っていいか?と聞いてきましたが進めていいですか?」と!なんだと? 修理依頼からすでに3ヶ月経過しているのにこれから!!??それじゃあいままで何やってたんだ。問いただすと、保証書コピーをメールにPDF添付して送ってあったのだが、それが「届いてなかったので」との返事。送ったんだから調べろ、とやりとりが繰り返される。 それならそれで、なぜまだ「届いてませんが」と連絡してこないのだ。3か月もほったらかしにして。しかも送付先として教えられていたメールアドレスは間違いで、「そちらに送られても読めません」と木で鼻をくくったような、私の責任じゃありません的な返事。このメールアドレスを教えたのはあなたですぜ! 何をか言わんやだ。即再送したら、「届きましたが保証期限が切れましたので有料修理になります!」。思わず「ワレは客をおちょくっとるのか!」つい下品な言葉が飛び出しそうになった。さすがに温厚な私もキレてしまった。客を怒らせる典型的な応対パターンだ。

 さらに話はここで終わらなかった。結局、4月に入って修理完了の連絡。結局4ヶ月もかかった。修理完了報告書にはROMと電子基盤交換、とだけ書いてある。SLレンズ不具合のときもそうだったが、ナニが原因で不具合が発生したのかは日本側のサービススタッフにも伝えられていないという。ともあれ早速持ち帰って、CLに装着。スイッチオン。画面が現れて、撮影が可能となっていた。やれやれ直ったかと思いきや、またしても先述の症状が出現しご臨終に。なんだゼンゼン直ってないじゃないか!

 もちろんライカ銀座サービスに直行(本件だけで何回ここへ通うことか!)。対応に出たサービススタッフはさすがに平謝りであった。しかし、ROM, 電子基盤交換しても同様な不具合が発生するということは、原因は別のところにあるに違いない。ROM/基盤を破壊してしまう原因を追いかけなければ、永遠に部品交換は続く。素人でも判断できることだ。サービススタッフも同意見。「取り合えずもう一度預からせていただきたい。ドイツ送りだとまた3ヶ月がかかりますが」と。もうこの時すでに呆れてしまっていた私は「まあ気長に原因追求してください」と依頼。

 結局は、日本側ライカジャパンの判断で、ドイツに修理依頼するのではなく、新品と交換することで決着となった。カスタマーフロントとしては正しい判断だ。顧客が抱える問題の解決を優先する姿勢と、ドイツの修理部門に対する不信感の表れといえるだろう。このままドイツ送りになっても、根本原因が解明されない限り同じ事象がリピートされるだけであることは誰の目にも明らかである。まあ、この後ゆっくりドイツで分解でもして不具合発生原因の徹底究明と、今後の製品開発へのフィードバックデータの取得をやってもらいたいものだ。

 今回の件でも、以前のブログ(2016年5月SL Zoom「故障者リスト入り」へ)にも書いたが、ドイツの「技術力、品質」に懐疑的にならざるを得ない。本件ではドイツ側の技術者は、根本の原因究明ができず(あるいは究明努力もせず?)、単純に壊れた部品を交換するだけでコトを済まそうとしたことが問題だ。案の定同じ事象が再発し、コストと時間を浪費し、あわせて顧客の信頼失った。すべてとは思わないが、ライカ本社の技術、品質管理はこの件を見る限りどうなっているのだろう。TQCの考え方が欠如している。サービスフロントへの原因分析結果のフィードバックもないようだ。次の製品開発へのフィードバックもできないというコトだ。だからKAIZENにつながらない。それに対し、日本側の対応は、先述のまるで量販店のアルバイト店員のような無責任でお粗末な応対は別だが(きちんと教育しておいてほしい)、こうした顧客クレームにきちんと対応し、顧客の立場にたって問題解決するサービスサイドの姿勢はさすがだと思う。多分、ドイツ本社との意識ギャップ、サービス品質にうるさい日本の顧客とのギャップにかなり苦労させられていることだろう。日本側のカスタマーフロントにおける努力は是としつつも、ライカ社全体のサービス品質、顧客満足度という点では、まだまだ日本のプロ機材提供各社の足元にも及ばない。ライカ社マネジメントはそこを理解しているのだろうか。NやCや Sに比べれば小規模とはいえライカ社はもっとエレクトロニクスとソフトウェアー分野の技術者を増強すべきだろう。カメラは50年前とは違い、あなた方が嫌っていた電気とプログラムで動く道具になったのだから。ましてカメラは単なるブランドをひけらかす商材ではない。

 相次ぐ不具合でさすがに堪忍袋の緒も切れて、もうデジタルライカ機材を手放すつもりでいたが、思い留まるコトにした。今回もライカ本社は日本側スタッフのカスタマーファーストの対応で顧客を失わずに済んだことを感謝すべきだ。文句言いながら付き合っている我慢強いファンにも感謝して欲しいものだ。「ライカファン」が本当の「ライカユーザ」に定着するためには、敷居の高いライカショップばかり増やすのではなく、日本で修理が完結できるよう信頼できるサービス部隊を充実強化して欲しい。

Leica CL + M/T Adapter + Summilux 50/1.4

Leica CL + M/T Adapter + Summilux 50/1.4

Leica CL + Vario Elmar-T 18-56 ASPH

Leica CL + Vario Elmar-T 18-56 ASPH

Leica CL + Vario Elmar-T 18-56 ASPH