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2020年10月23日金曜日

久しぶりの嵐山/嵯峨野散策 〜GoToトラベルで東京都民、京都に参上!.〜

 

大堰川と渡月橋

例年の紅葉シーズンの渡月橋(2010年)


紅葉の時期にはまだ早いが、京都の嵐山、嵯峨野散策に赴いた。「そうだ、京都行こう」じゃないが、前日に思い立って突然出かけることにした。鬱々とした「巣篭もり」の反動で突然弾ける。天気予報は幸いこれから二日は秋晴れだという。雨続きでうんざりもしていたこともある。GoToトラベルが東京都民にも適用されることになりこれが後押しした。宿泊料30%割引。地域共通クーポン6000円分付き。悪くない!「割引」キャンペーンは、金は無いが時間はたっぷりあるリタイア世代に、こんな果断な決断と行動をさせるものだ。

新幹線はジパング倶楽部でこれも30%割引。「のぞみ」には乗れないが、時間はたっぷりあるので「ひかり」で十分だ。新幹線はそこそこの乗車率。サラリーマン出張組が多い。「ガンバレ、サラリーマン諸君!」。「スマンがわれわれは遊びに行く!」。一車両の後列は団体用にGoToで旅行代理店が押さえているらしい。もっとも結局ほとんど埋まらなかったが。往時に比べりゃ席は空いている。

京都駅では、どこかの県みたいに「東京都民は京都には来ないでください!」とバリケードが張られ、防護服にマスク姿の府庁職員が立っているのではないか(?)と、恐る恐る降り立ったが、「入国検査」も「検疫」もなかった。思ったより観光客もいて、なんと修学旅行の一団まで!黒い制服の生徒たちが駅前広場のかたすみに腰を下ろして先生の指示を聞いている。街は賑わいを取り戻しつつあるものの、人出はイマイチかな。ホテルに到着すると、思いもかけず列を作ってチェックイン待ち。GoToが始まったので客が戻ってきたとのこと。ホテル業界にとっては良い兆候なのだろう。ここは以前から京都での定宿なのでチェックイン自体は簡単。体温検査はあったが「東京からですね?』などと余計な念押しもなし。街へ出て寺町新京極あたりを徘徊すると、地元の人(観光客らしくない人)で賑わっている。錦小路や先斗町へ足を伸ばすと、閉店してしまった店が多いのに驚く!やはりコロナは観光業中心の地元経済に大きな影響を与えているようだ。なんと言っても中国、韓国の観光客がいないのだから、ビフォーコロナのあの雑多な賑わいを求めるのは無理。「爆買い」などもはや過去の言葉になってしまった。しかし、この日本人だけでそれなりに賑わっている京都の街も悪くない。かつてのバブル時代の日本、すなわち物価高と円高で、海外からの旅行者には敬遠されていた時代に戻ったようだ。街中では日本語しか聞こえてこないし、慣れない着物着て自撮り棒振り回す「チャイニーズ・ゲイシャ」の一団もいない。なつかしさがこみ上げてくる。昔の京都はこんなんだったなあ!と。

京福電鉄嵐山線、いや「嵐電」で嵐山へ向かう。新入社員時代(初任地は姫路)、デート時代、新婚時代、大阪時代と頻繁に出かけた。嵐山、嵯峨野のブログもいっぱい書いた。地下鉄太秦天神川で乗り換えてコンプレッサーの音も懐かしいチンチン電車に乗車。車内はそれなりに席が埋まっているが、雰囲気的には地元の乗客が多いようだ。嵐電嵐山駅につくと駅前の人出は閑散としている。もちろん紅葉にはまだ早いし、ウィークデーであることもあるが、かつてのように駅前の通りが観光客で溢れている感はない。ここでも閉まっている店が多いのに驚く。なかには看板下ろした店も。もちろんインバウンドも姿を消した。コロナの影響は大きい。なんかあの渡月橋が落下するんじゃないかと思うほど人が溢れていた時代の嵐山じゃないような気がする。

嵯峨野にいたっては、かつての嵯峨野散策コース入口、竹林地区が人の波で大渋滞して先へ進めなかった時代が嘘のよう!そこそこ観光客はいるが閑散としている。都会の人人人の生活に疲れてやってきた嵯峨野で、観光客の喧騒の渦に巻き込まれるなんてイヤじゃあ〜りませんか。静かに散策する本来の環境が戻ってきたようで少し嬉しくなった。ゆったりと秋風を感じながら竹林を抜け、野の宮神社、山陰線の踏み切りを渡り、落柿舎、常寂光寺へと散策する。ここから先は二尊院、祇王寺、化野念仏寺、そして鳥居本へと続く。こんなに静かな小径だったかと驚く。かつても念仏寺を過ぎると歩く人も急に少なくなってゆっくり散策できたものだが、今は落柿舎あたりも人が少なくやけに秋空が広い。ここは一人旅の女性の姿が良く似合う。一眼レフ下げて歩く「カメラ女子」にも出会った。嵯峨野は今も昔も「女子」に人気だ。「女ひとり」とういうデュークエーセスの歌が流行ったっけ。

紅葉の名所、常寂光寺を目指した。ここは1561年(永禄4年)開山の日蓮宗の寺だ。この緑濃い寺は、信仰と修行の場というよりは、俗世を離れて静かに隠棲して仏道に精進する場なのであろう。この辺りはかつて藤原定家の山荘があった場所だ。小倉山の中腹にありここから京の都を展望することができる。今はまだ錦繍の紅葉シーズンには早いが青紅葉が美しい。陽の光にモミジと苔の緑がキラキラ輝いている。しかしこの寺の苔がこのように見事であることに今まで気づかなかった。これも慌ただしい観光客の群れに巻き込まれず、ゆったりと時を過ごすことができるお陰だろう。何か忘れていたものを取り戻した感じがした。内外の観光客に人気なのも良いが、オーバーツーリズムはやはりなんとかせにゃいかん。観光業を生業にしている方々には申し訳ないが、こうした静かな佇まい、ゆったりとした時間を取り戻すのも悪くない。そういう時間と空間に価値を見出す生活。コロナを機会にもう少し豊かさをは何かを考えてみたいものだ。


京福電鉄嵐山線
またの名を「嵐電」
渡月橋のたもと、金木犀が芳香を放っている

渡月橋

大堰川堰堤

秋晴れの天気

むらさき芋スイーツ
嵯峨野の竹林




野々宮神社
コロナ退散を祈願

落柿舎
秋の空が大きく広がる

常寂光寺山門

仁王門

本堂

多宝塔

紅葉と苔のコラボレーション


仁王門


苔むす庭

境内から東山方面を展望

藤原定家の小倉山荘跡



嵐電嵐山駅前の人出の比較写真をご覧いただきたい。それにしても例年の紅葉シーズンの嵐山は凄まじいほどの人出で、紅葉狩りどころではなかった。今回は紅葉シーズン直前の平日であったことを割引いても、閑散とした佇まいだ。店仕舞いしたところもありかつての賑わいは感じられない。どちらが良いのか...

(現在)

嵐電嵐山駅前の通り
人力車も余裕で走れる

閑散とした駅前通り
店仕舞いしてしまったところもある


(10年前)

例年の紅葉シーズンならこの賑わい!
嵐電駅前の通り(2010年)

2010年頃の天龍寺曹源池庭園まえ

(撮影機材:Leica SL2 + Lumix-S 20-60/3.5-5.6 ただし以前の写真三枚を除く)