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| Leica M EV1 (Leica Camera AGウェッブサイトより) |
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| Leica M11 Silver(比較用) |
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| フィルム時代のLeica MD |
10月3日、以前から噂されていた電子ビューファインダー搭載のLeica M EV1ついにが発表になった。Mシリーズの新製品登場!しかしどうしてあまり興奮しないのだろう。なぜか物欲が全く刺激されない。したがって「速攻予約」とはならなかった。
M EV1は、M11から光学式距離計ファインダー(レンジファインダー)を取り除き、Leica Q3の電子ビューファインダー(EVF)に置き換えたもの。言ってみれば「ミラーレスM」である。もともとMにミラーはないので、ニコンのような一眼レフからペンタプリズムとミラーを取り除いたカメラとは異なり、「レンジファインダーレスM」ということになる。それ以外の基本スペックはM11と全く同じ。EVFによりバッテリー使用時間がM11より短くなり、貼皮がQ3と同じダイアモンドパターンに変わり、ISOダイアルが廃止された。レンジファインダーがなくなった分、ボディーが薄くなり重さが494gと若干軽くなった。価格はM11よりは若干低く設定されている。やはり高価な光学プリズムと繊細なメカでできているレンジフィンダーはコスト高なのだ。
私は保守的なMユーザではないし、レンジファインダーに拘ってもいないので、電子ビューファインダは歓迎だし、SL3やQ3でそのメリットを大いに享受している。しかし、このM EV1にはどうも惹かれない。まず外見がセクシーじゃない。Mから正面のファインダー窓がなくなり、それに伴う段差もなくなり、さらにISOダイアルも無くなった。怪談に出てくる「のっぺらぼう」みたいでショックを受けた。にもかかわらず、レンジファインダー用の測距窓だけは残している。セルフタイマーの点滅ライトだという!?一眼レフカメラと異なりレンジファインダーカメラは「ミラーレス化」すると、ファインダー窓のある特徴的な外見は大きく変容を強いられる。デザイン的な工夫がないと、ただ「レンジファインダー」を取っただけの姿になりむしろ痛々しい。フィルムライカの時代にファインダーのない「のっぺらぼう」モデルもあったが、医学用などの特殊用途向けであった。伝統的なデザインとスタイル。それに最新技術を組み合わせる。デジタル化の過程でライカMはその試行錯誤の歴史を歩んできたが、今回もその次のステップへの一里塚なのだろう。
それにしてももう少しなんとかならなかったのか。フジフィルムのようなハイブリッドファインダーは考えなかったのか?Mからファインダー窓を取ったらMじゃない。むしろQシリーズ(元々レンジファインダーを前提としてないところからスタートしたデザイン)でレンズ交換できるモデルを追加して欲しいとさえ思う。幸いM11は継続発売されるし、レンジファインダー機は無くならないので、モノクロ専用モデルや液晶省略モデルと同様の、いわばMの派生モデルの位置付けなのだろう。またM EV1とあるので近い将来に改良版の2や3が出るのだろう。どんな答えを出すのか期待したいが、MはMのままでよい。当面、Mレンズ資産を「ミラーレス」で使いたければSL3ボディーがあるので問題ない。
このカメラでどのような撮影体験ができるのだろう。言うまでもなくカメラは写真撮影にとってとても大事な「お道具」なのだから、まずその「良い仕事しているお道具」に惹かれなければワクワクする撮影体験もできない。スマホで代替できない所以だ。技術的な合理性だけでは感性は刺激を受けない。「今日はこれを持って街に出よう!」と言う高揚感を刺激してくれる「お道具」。それがライカの魅力のはずなのだ。次を楽しみに待とう。ちなみに今年はライカ100周年だそうだ。その節目のM EV1。次の100年に向けてのスタートか。
ちなみにLeica MのMは、Messsucher、すなわち「距離計」を意味する。
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| 正面のファインダー窓と段差がなくなった |
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| 背面 |
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| 軍艦部 正面の段差がなくなった分だけ薄くなった。ISOダイアルがなくなり寂しくなった |
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電子ビューファインダ まるでQ3のファインダーだ |
(写真はLeica 社HPから引用)






