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2021年4月1日木曜日

今年の桜巡り(2)御殿山、目黒川、しながわ区民公園 〜「気分を変えてご近所ブラパチ散歩」の巻〜

 

かつては「さくら咲く」の季節は4月。入学式や入社式など人生節目のスタート地点を寿ぐ花こそ桜であった。しかし、都内の桜の開花は時期は年々早くなり今年の桜は4月を待たずして満開となり、今日は早くも散り際の美しさを見せている。御殿山、目黒川の桜も、この写真を撮った27日が満開で、このブログをアップする頃にはすでに散り始めている。開花のワクワクよりも、満開の華やぎよりも、散り際の美しさこそ日本人の美学に訴えかけるものである。有終の美を飾る。終わりよければすべてよし。晩節を汚さず。潔い振る舞い。こうした態度や節度に日本人は心を動かされてきた。したがって、いつまでも地位にしがみついたり、欲得に執着したり、言い訳したりする往生際の悪さを嫌う。もっとも最近は、そうした価値観も変わってきたようで、見苦しい姿を晒し続ける人物を見ることも珍しくない。とはいえ、妙に謙虚さを装うところも残っていて、だから日本人は外国との交渉には弱い。相手はしつこいくらい欲得ズクだし、強引で往生際が悪い。謙虚は美徳ではなく自己主張が美徳だと信じている連中を相手にすると、日本人はすぐに負けてしまう。古来、倭国、日本は島国だったから、折々に海の外から「漢風」「洋風」を取り入れつつも時々国を閉ざしたりして引きこもり、独自の「和風」の価値観と美的感覚を磨き、醸成することができた。そうでなければこんな散りゆく桜に美学を感じるなどという「美風」は育たなかったろう。しかし、もうそんな時代ではない。いつまで「もののふ桜」「桜花」が国の花でいられるのか。ちなみに東京から贈られたワシントンDCポトマック河畔の桜は見事な並木が延々と連なり、毎年この季節には川面に美しい桜花を映し出している。今やワシントンの名所になっている。ただ、ここポトマック河畔の日米両市民の友好の象徴はすぐには散らない。一ヶ月近く美しく咲き誇る。日本から送られたにもかかわらず。ここでは桜は散り際ではなく、咲き誇る姿が愛でられている。

桜の季節は短い。写真を撮る側にしてみるとこの時期は忙しい。有名どころをいくつか廻ってやろうなどとその気になるならば短い時間にあちこちの桜の名所を渡り歩かねばならぬ。開花宣言、満開宣言、そして散り桜。ほぼ2週間ぐらいの間の出来事だ。そわそわと気分的にも落ちつかない日々となる。関西や東北にでも足を伸ばせるならもうすこし長く楽しめるのだろうがそうはいかない。去年、今年と2年目の外出自粛であまり遠出もできず、ご近所ばかりをブラパチする。それでも、遠くの天下に名高い桜の名所に出かけずとも、山里に人知れず咲き誇る桜の古木を訪ねなくとも、日常の風景の中にその美しさと儚さを見出すことができる。この季節、思えば日本はどこも桜で満たされている。桜の木は咲いていないほとんどの季節は目立たないので、それと気づかないが、時期になると一斉に咲き誇りあたりの風景が一変する。ほんのひと時ではあるが日常の風景にも桜マジックが現れる。都会のマンションの片隅にこんな桜の古木があったのかと驚かされることも珍しくはない。花見客と宴会でごった返す典型的な「お花見」シーンは姿を消して久しいが、静かな花見もまた良し。幸せの青い鳥は、遠くの夢の国にいるのではなく、身近な日常にいることを気づかせてくれた。日本はやはり桜咲く国なのだ。日本人は桜が好きだ。そうあらためて気付かされるのもコロナ巣篭もりのおかげだ。


1)御殿山

2年前の「御殿山の桜」ブログをご紹介しよう。新しい年号が「令和」と決まり、そのお披露目が御殿山でもあった。その場面を懐かしく思い起こしながら... 御殿山の故事来歴、蘊蓄は前回ブログをご覧あれ。

2019年「江戸名所御殿山花盛り」


御殿山全景(八つ山側から展望)
キリスト教品川教会、御殿山ヒルズ

江戸時代の桜の名所御殿山はお台場築造で切り崩され、
さらに明治に入って鉄道敷設のために開削され、面影がなくなってしまった
現在は新幹線、横須賀線、東海道線、京浜東北線、山手線の5線が通る日本有数の鉄道ルートとなっている。


紅葉の新緑が美しい





御殿山トラストタワー




御殿山庭園の滝

現在の御殿山は高級住宅街、ギャラリーなども多い



旧原邸
明治以降は現在の品川教会、御殿山ヒルズを含む広大な敷地が実業家原家の邸宅であった。
最近まで旧邸が「原美術館」として公開されていたが、2月に閉館となってしまった。

旧原美術館
閉館となりもはや立ち入ることはできない

ミャンマー大使館。
ミャンマー国軍のクーデタで民主主義が危機に瀕しているこの時期であるが
この日はデモもなく静かであった。
此処は、やはり明治期の実業家で数寄者の益田鈍翁の邸宅跡であった

御殿山通り


御殿山邸宅街


神戸製鋼本社



2)目黒川

前回散策しブログにアップしたが、御殿山に向かう途中で再度通りかかったので、その時の写真を追加した。少し天気は回復し、青空が見えた分だけ印象が変わった。


目黒川 五反田〜大崎




大崎界隈


このビルの設計者のセンスには驚かされる!




3)しながわ区民公園

ここは京浜運河、大井埠頭の一部を埋め立てて造成した人口の緑地だ。広大な敷地内には水族館や芝生広場や運動施設、池が配置されていて、いわゆる典型的な都市型公園であるが、しかし、ここには人工の森が出現している一角があり、特に桜の森は人工的に作庭したとは思えない神秘的な佇まいで好きなところである。明治神宮の森ほどではないが、都会の埋立地に出現した別世界である。

早くも散り桜の美しさ







(撮影機材:Nikon Z7II + Nikkor Z 24-70/2.8S、しながわ区民公園写真はLeica SL2 + Vario Elmarit 24-90/2.8-4SL)