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2024年3月18日月曜日

皇居三の丸尚蔵館「皇室のみやび」第3期展覧会を鑑賞 〜5番目の国立博物館誕生〜




昨年11月に皇居東御苑内にオープンした「皇居三の丸尚蔵館」を訪ねた。ここは平成元年(1989年)に上皇陛下と香淳皇后から、皇室に代々受け継がれた美術品が国に寄贈されたことを機に、平成5年(1993年)に開館した三の丸尚蔵館がその基となっている。開館30周年を機に、施設を拡充することとし、昨年10月に管理・運営が宮内庁から独立行政法人国立文化財機構に移管された。東京、京都、奈良、九州に次ぐ第5番目の国立博物館になった。展示面積はこれまでの160平米から690平米に拡大され、2026年(令和8年)の全面開館時には1300平米へと大幅に拡充される。 収蔵庫面積も大幅に拡大されるという。

その開館記念に、昨年11月から「皇室のみやび」展が開催されており、その第1期「尚蔵館の国宝」、今年一月から第2期「近代皇室を彩る技と美」、そして3月12日の今回の第3期「近世の御所を飾った品々」、そして第4期は5月21日から「三の丸尚蔵館の名品」が開催される。入館はネットでの日時指定予約が必要。入館料は一般1000円(70歳以上は無料)。ミュージアムショップなどの施設はまだオープンしていないが、図録は販売している。皇室の貴重な美術品のほとんどが写真撮影OKであるのが嬉しい。

今回、第3期は、京都御所に伝わる品々を展示している。国宝の藤原定家「更級日記」写本(鎌倉時代))が展示されている他、藤原行成の「雲紙本和漢朗詠集」(平安時代)、伝狩野永徳の「源氏物語図屏風」(江戸時代)、狩野常真「糸桜図簾屏風」(江戸時代)などが展示されている。源氏物語ゆかりの品々が並んでいるのが楽しい。こうした皇室の貴重な美術品の数々、歴史的に重要な資料が公開され展示されることは大歓迎だ。皇居東御苑は外国人観光客の人気のスポットだが、そこに皇室由来の逸品を鑑賞できる新たな国立博物館が加わることになる。2年後の全面開館が待ち遠しい。



新装なった部分。右手の旧館は取り壊されて改築中

旧三の丸尚蔵館
現在は取り壊さている

散手貴徳図衝立 狩野永岳 (江戸時代)




以前に比べ展示室が2箇所に増え、それぞれ広々としたスペースでゆったりと鑑賞できる。



以下に、撮影が許可されている作品の中からピックアップしてご紹介したい。「近世の御所を飾った品々」、どれも京都御所伝来の逸品である。こうした「禁裏」に伝わる名品が誰でも鑑賞できる時代になった。

国宝 藤原定家写本「更級日記」
藤原定家は自身も認める悪筆だという。

雲紙本和漢朗詠集 巻上」伝藤原行成(平安時代)
能筆三蹟の一人藤原行成の字は流石に達筆。達筆すぎて読めない。

「糸桜簾屏風」狩野常信(江戸時代)
簾になっておりこの向こうに平安美人画が設られている。


「源氏物語図屏風」伝狩野永徳(江戸時代)
若紫の場面

「四季図屏風」渡辺始興(江戸時代)

古歌屏風」八条宮智仁親王(桃山時代)


「北野天神縁起絵巻」(室町時代)
子供の道真が父に「自分の父となるように」と告げに来たところ
道真が人ではなく神であることを示唆する場面だとか

「菊花流水蒔絵厨子棚」(江戸時代)

「尾長鳥・小葵蒔絵鉄刀木小箪笥」(江戸時代)
一橋徳川家からの献上品


「菊花散蒔絵十種香箱」(江戸時代)
香道のお道具一式



「蔦細道蒔絵文台・硯箱」(桃山時代)
蒔絵の硯箱と同じ蒔絵の文台のコラボレーションが見事
伊勢物語に題材を取ったデザイン


菊花流水蒔絵歌書箪笥(江戸時代)
持ち手がついた和歌の冊子を収納する引き出し

「箏 銘 團乱旋」(室町時代)

「笙 銘 錦楓丸」盛尊(鎌倉時代)



龍笛 銘 春鶯啼(平安時代)


(撮影機材:Nikon Z8 + Nikkor Z 24-120/4)