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2011年10月6日木曜日

ならまちの秋 ー紅葉だけが秋じゃないー

 奈良のならまちはカメラぶら下げて散策するの良いエリアだ。何度行っても飽きない。ヒマさえあれば何度も訪ねている。当てもなくぶらぶら歩くと必ず何か新しい発見がある。

以前にも書いたように、ならまちは飛鳥から移転してきた元興寺の広大な寺域が時代を経て,町家街に変化したものだ。萩で有名な現在の元興寺極楽坊は、当時の僧坊の一部が改装されたものである。屋根の一部に飛鳥から移された古代瓦(行基葺き)が現存する事もよく知られている。

ならまち(すなわち旧元興寺境内)には、現在の元興寺極楽坊の他にも、十輪院、福智院や五重塔芯礎、本堂跡などの大寺院の遺構が多く残されているが、多くは町家に変化している。こうした町家を主体とする町並みは江戸時代後期から明治にかけて形成されたもののようだ。なかには今も商売をしているつくり酒屋、晒問屋、薬種店が軒を連ね、今西家書院のような豪壮な建物も現存している。今井町のような環濠集落としての成り立ちとは異なるが、元興寺境内という区切られた空間がこれほどの街に変容したという事実にも驚きだ。大和の町の成り立ちを探る。知れば知るほどその奥深さにワクワクする。

ならまちからチョット新薬師寺の方向、東へ行くと、そこは志賀直哉など、文人墨客の住まいとして名高い高畑町だ。ここに、小さな西洋アンティークの店を発見した。店主は自らフランスやイギリスに骨董買い付けに出かけ,気に入ったものだけを店内に並べている。ユニークなのは、この小さいが瀟洒なお店自体、店主夫婦が古屋を借りて,こつこつと仲間と古材を用いてリノベートしたという、とても味のあるお店だ。いかにも古民家という風情と西洋アンティークの絶妙の取り合わせ。このお店のウエッブサイトも写真満載で楽しい。こうした店主の方のライフスタイルにも憧れを覚える。

本格的な紅葉にはまだまだ早い季節。まるでタイムカプセルのようなならまちを散策すると、あちこちに夏の名残とともに,秋の気配が見て取れる。時代を超えて季節は移ろい行く。さしもの今年の猛暑も、ようやく秋の涼やかさに入れ替わっている。秋晴れの古都に懐かしい日本人の心と、それにうまく融合した新しい生活のスタイルを再発見することが出来た一日であった。つぎは何を発見するのだろう,楽しみだ。