ページビューの合計

2016年4月5日火曜日

大和路桜紀行(2)春雨にけぶる當麻の里に桜を愛でる


當麻寺護念院のしだれ桜
背景は二上山

 大和路桜紀行の二日目は雨であった。暖かい春の雨であった。ネットで調べると、長谷寺(長谷寺の桜)も大野寺の枝垂桜(大野寺の枝垂桜)も満開になったとの報。しかし、雨の似合う桜はやはり大宇陀の又兵衛桜か當麻寺の枝垂桜だろう。長谷寺も大野寺も両方ともこれまで毎年訪れているので今回はパスしよう。大宇陀の又兵衛桜も一昨年訪問して、雨に佇むその孤高の美しさに息を呑んだ。さらに人知れず咲き誇る天益寺の枝垂桜の華麗さにも心奪われた(大宇陀の又兵衛桜)。しかし、今回は、まだ満開には間があるのと、十分な観賞時間が取れないことから見送ることにした。

 そこで満開となった當麻寺のしだれ桜を訪れることとした。當麻寺は飛鳥古京から見ると西の方角、東の三輪山の真西の二上山の麓に建立された。しかしその建立の由来、伽藍配置、ローケーションに謎が付きまとう不思議な寺だ。もちろん中将姫の曼荼羅伝説もミステリアス。曼荼羅浄土信仰が盛んになり、真言宗寺院でありながら浄土宗共立の寺になった。その詳細については以前書いた下記のブログを読んでいただきたいが、私の大和古寺巡礼の中でも最も心静まる寺の一つだ。なんといっても飛鳥人、みやこ人が憧れた西方浄土を望む土地、夕日の沈む二上山山麓、大和国と河内国の境というその立ち位置、そして里の佇まいがなんともよい。今の季節は有名な枝垂桜だけではなく、美しい花のご坊、西南院のシャクナゲも咲き始めた。護念院のハクモクレン、花蘇芳、椿、山茱萸と桜のコラボレーション。やがては中之坊庭園の芍薬、牡丹... どれを取っても心洗われる。

 そして何よりも里の春。大和路の古刹にはその周辺になつかしくなるような美しい里がある。ここ当麻の里は當麻寺を中心に二上山の麓に美しく静かに佇む村里だ。ようやく春を迎えて田植えまでまだ時間がある。静かな田園風景はこれから始まる豊穣の時を迎える準備が静かに進行しているのだろう。あたりは野の花が咲き乱れ、木々の芽吹きの季節を迎えている。山桜、スモモ、花桃、レンギョウなどが雨にけぶる二上山を背景に咲き誇っている。あまり自我を主張しないこれらの花々は、日本中が桜満開に沸くの桜狂騒曲の裏方だ。私はこうした裏方の楚々とした美しさに心惹かれる。やがて桜が散ると、瑞々しい新緑の季節を迎える。ワクワクする季節だ。

 追記:今回は、近鉄當麻寺駅前の中将餅をめでたく入手できた。いつもだと帰りに買おうと思って店に寄ると売り切れていることが多い。この店で自然素材だけでの手作りなの人気がある。この素朴だが豪華なよもぎ餅を食すたびにこの當麻の里を思い出す。

参考:2014年9月のブログで「當麻寺の謎」について解説しています。

   當麻寺の謎 〜豊穣の時を迎えた當麻の里を散策〜 




日本最古の三重塔二基
西南院庭園より


雪柳

白木蓮

雨に濡れて

椿
花蘇芳
石楠花
なんとカラフルな...
西南院庭園
山茱萸(さんしゅゆ)
護念院庭園
雨にけぶるしだれ桜
護念院

護念院


護念院庭園
枝垂れ桜



護念院全景

當麻寺曼荼羅堂(本堂)

當麻寺境内

當麻寺参道

竹内街道
ツバキ

當麻の里の春

雨にけぶる二上山
レンギョウ

葉牡丹

スモモ

二上山