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2016年11月21日月曜日

ニューヨーク郊外の小さな街 〜コロニアルタウン、ペンシルバニア州ニューホープ探訪〜


New Hope&Ivyland鉄道
New Hope駅

栄光の大陸横断鉄道の面影を今に残す客車


 ニューヨーク/マンハッタンから車で1時間半。ここニューホープ(New Hope)は、植民地時代から続く小さな町。フィラデルフィアからニューヨークにいたる幹線道路、Old York Roadのちょうど中間地点にある。デラウェアー河西岸ペンシルバニア州に位置し、橋を隔てて対岸がニュージャージー州ランバートビル(Lambertville)。独立戦争前の1773年に開かれたコロニアルタウンだ。今は週末の「小さな旅」を楽しむ人々に人気の歴史の町。元々は川の渡し舟があったのでCoryell's Ferryという名前であった。しかし、のちに1790年の火事で街が焼けたため、再建に立ち上がった住民が街の復興を祈念してNew Hopeと命名したという。

デラウェア川渡河作戦の図
メトロポリタン美術館蔵
独立戦争の時にはジョージ・ワシントンがデラウェアー渡河作戦を控えて、この地に滞在したと言われている。1776年のクリスマスの夜のことであった。これまでイギリス軍に押し込められてペンシルバニアまで撤退を余儀なくされるという劣勢を挽回すべく、デラウェア川渡河作戦を決行した。そしてトレントンの戦いでドイツ人傭兵部隊を破った。これまで独立に自信を持てず懐疑的であったアメリカ植民地軍を勇気付け、独立へと向かうきっかけとなった戦いだと言われている。アメリカ独立戦争の画期となったこの歴史的な渡河作戦は、様々な絵に描かれており、メトロポリタン美術館やホワイトハウスなどに掲げられている。まさに「鞭声粛々夜川を渡る」場面だ。



 ニューホープは現在は人口2500人ほどで、主な産業は観光。また不動産の取引価格ランキングではペンシルバニア州で一位になるなど人気の地域でもある。街のメインストリートは小さくて週末は観光客の車と人で結構混雑しているが、周辺の森には広大なリアルエステートが広がっている。前回のブログ(ジョージ・ナカシマ木工家具工房探訪)で紹介したジョージ・ナカシマの工房もこの一角にある。街の真ん中に珍しく鉄道の踏切がある。かつてのNorth Pennsylvania鉄道のNew Hope支線の跡が、今は観光用の鉄道として動態保存されていているからだ。見るからにアメリカ大陸を走り回るために製造した、という風貌の重量級のディゼル機関車と蒸気機関車(この日は見えなかったが)が保存運用されている。客車も鉄道全盛時代のアメリカンな骨董品クラスの車両が修復され運用されている。美しい風景の中を往復45分ほどの鉄道の旅を楽しむことができる。しかし今回はジョージ・ナカシマ木工家具工房訪問が主目的だったので時間がなく、残念ながら大好きな鉄道の旅は次回にお預けとなった。

 街にはコージーなレストランがいくつかある。初めての町でガイドブックにも出ていない小さな町でも、最近はスマホ・ネットで人気店がすぐ見つかる。コロニアルスタイルの瀟洒な建物を利用したベジタリアン向けやイタリアンが人気らしい。ただ、この日は週末で人気の店はどこも満席。空くのを待つ時間の余裕もなかったので、結局アメリカンなハンバーガーとパニーニを売りにしている店に入った。小さいが古民家を利用したアットホームな店で結果オーライであった。むしろゆったりと食事を楽しむことができた。混んでいるとは言っても東京の郊外の観光地をは大違いだ。



クラシックな車がよく似合う


コロニアルスタイルの建物


旧New Hope Town Hall
今は観光案内所になっている
この裏手に小さな監獄があるのが歴史を感じさせる。

小さな街だが週末は長い車の渋滞

観光客で賑わう通り

Elections Dayの前々日だった
あんな結果になるとはこの時は想定していなかった...


晩秋の佇まい

Bucks County PlayHouse
劇場

クリークがあちこちに


New Hopeのメインストリート
その名もBridge Street
Delaware川にかかる鉄橋に直結している

New Hope / LambartvilleBridge
Pennsylvania州とNew Jersey州の州境を流れるDelaware川にかかる鉄橋

Delaware川
静かでゆったりとした流れ
George Washington軍はこの川をクリスマスの夜に渡りトレントンの戦いに勝利する。
「鞭声粛々夜川を渡る」