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2024年5月3日金曜日

マイケル・ケンナ展@代官山ヒルサイドフォーラムへ 〜懐かしの猿楽町界隈も徘徊〜

 イギリス人でアメリカ西海岸を拠点に活躍する写真家のマイケル・ケンナの写真展が代官山のヒルサイドフォーラムで開かれた。彼は世界中で50年以上にわたって写真を撮り続けているが、1987年に日本に来て、日本の神秘と静謐の精神世界に魅了されて写真を撮り続けた。「私が初めて日本をおとづれた時、その美学、精神的かつ宗教的な側面、人々の好奇心や親しみやすさ、寛大さに衝撃を受けました」と述べている。特に彼を惹きつけたのは北海道の真冬の世界。「それは冷厳な水墨画、漢字が記された純白のキャンバスのように見えました。それ以来、この場所を愛してやまないのです」と。

彼はハッセルブラッドを手に、スクエアーフォーマット、フィルム、モノクロ、長時間露光、彼自身によるゼラチンプリントで作品を作り上げている。彼が表現する日本のモノトーンと陰影のグラディエーションは、とても素人がマネできるものではないが、どこか自分の心象風景にある「静謐」が見えるような感覚にとらわれるのが不思議だ。まるで「そうそう、同じ写真を撮ったことがある」と思わず言ってしまいそうになる。しかし、それは我がフォトアーカイブには存在しない、実は心のアーカイブに存在することに気付かされる。

ゆっくりと作品を堪能した後は、もちろん彼の写真集を手にいれて、写真の余韻冷めやらぬまま、連休で賑わう代官山の通りを意気揚々と引き揚げていった。

猿楽町はその昔住んだところだ。ついでにぶらぶら散歩して帰ろう。それにしても、この界隈、かつての面影がなくなってしまっている。しかし息子の通った幼稚園と小学校を訪ねてみたらまだあった。住んでいたアパートは跡形もなく取り壊されて、辺り一帯が今風のおしゃれな「複合施設」に生まれ変わっている。なんだか見知らぬ街になってしまった猿楽町、異世界を今浦島が徘徊している。確か、桜ヶ丘から坂道を下ると渋谷のはずだが、向こうには高層ビルが聳えているので坂の上にいる気がしない。この坂を下って良いのかと迷いつつ歩くとそこはもう一つの異世界であった。エンドレスの工事が続く。ここはあの時の渋谷なのか。マイケル・ケンナの静寂世界から一気に現実の世界に引き戻され、連休の雑踏に吸い込まれてゆく。


代官山ヒルサイド・フォーラム

マイケル・ケンナ展









ヒルサイド・テラス



昭和初期の洋館は人気レストランに



アパートの石塀が痕跡として残っていた

小学校は今も健在

桜ヶ丘

リフレッシュ渋谷!

(撮影機材:Nikon Z8 + Nikkor Z 24-120/4。マイケル・ケンナ展は撮影OKであるが、作品の雰囲気を再現することはできないので、展示風景中心とした)