大阪城公園は外国人観光客でごった返している。特に中国人観光客の数がすごい。ここはどこ?、私は誰?状態だ。光臨歓迎!聞こえてくる言葉も中国語ばかり。ワイワイガヤガヤ賑やかに近ずいてくるおばちゃんのグループの音量に、やはり「言葉がわからんと大声に感じるなあ」と思っていたら、なんや大阪のオバチャンや!。そんなこともあるのが大阪。大阪弁と中国語は韻と平仄が似ているのかもしれない。大阪のオバチャンも中国のオバチャンもカッコつけずおおらかですっきゃね〜! こうした賑やかな大阪城公園の意外な穴場は西の丸庭園。ここには大阪迎賓館と芝生広場がある。江戸時代には大坂城代屋敷があったところだ。結構な広さなのでイベントなので使われるスペースだ。この季節もなんだか電飾満載の夜間ライトアップイベントはあるようで、子供向けの電飾巻きつけられたフィギュア〜がいっぱい用意されていて日が暮れるのを待っていた。要するにイベントがない限りわざわざ入ってみようという観光施設ではない。しかも200円の入園料がいる。このコスパでは大阪人は絶対足を踏み入れない。欧米からの観光客は英語の「West Palace Garden」という魅力的な名前に惹かれて入ってくることもあるが、「金返せ!」とすぐに出てくる。私も大阪在住時、一度も足を踏み入れたことはない。今回、ある会合に向かう途中、時間調整で公園内を通り抜けるついでに、通りかかった西の丸庭園の受付で「中は何かあるんですか?」ととぼけた質問してみた。受付の女性は「中に茶室があってそこのイロハモミジが今真っ赤で綺麗ですよ!」と。聞いてみるもんだ。早速200円払って(ちなみにシニア割はない)初めて中に入った。なんとここからの大阪城天守閣の姿が最高に美しい。何より観光客が少なく、ゆったりしている。これが200円のコスパだ。そして、庭園の一番奥にある生垣に囲まれた茶室前にたどり着く。誰もいない。ここは松下幸之助翁の寄付による豊松庵である。なるほど大阪城を背景に今を盛りに紅葉が真っ赤に燃えている。なかなか見事だ。独り占め状態だ。京都の有名寺院で、行列して何千円も払ってもみくちゃになりながら紅葉見るよりいい。静謐なたたずまいも気に入った。茶室自体は門に鍵がかかっていてて、関係者以外立ち入り禁止。茶道の心得のある人以外お断り!みたいな無粋な看板が立っている。興ざめだ。禁止する方も、ズカズカ入ってゆく方もおよそ茶道の精神とは無縁の輩たちなのだろう。
さはさりながら、ひととき晩秋のイロハモミジを堪能することができた。200円の入場料は無駄ではなかった。
|
豊松庵入り口 |
|
松下幸之助翁寄贈による茶室「豊松庵」 |
|
西の丸庭園からの天守閣が見事 |
|
大阪迎賓館 |
|
焔硝蔵
徳川大坂城の火薬庫であった
茶室の真向かいにある |
|
西の丸庭園内の遊歩道 |
(撮影機材:Leica CL, Vario-Elmar-T 18-56 ASPH, APO-Vario-Elmar-T 55-135 ASPH, Super-Vario-Elmar-TL 11-23 ASPH)