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2020年12月26日土曜日

「邪馬臺国はどこにあったのか?」〜「邪馬臺国位置論争」にはどのような意義があるのか?〜 「49同期会プレゼンテーション資料」

 

12月19日に開催されたZoom「49同期会」において、表記のタイトルでプレゼンテーションの機会を与えていただきました。その時のパワーポイントスライドを掲載いたします。楽しく活発な意見交換をありがとうございました。答えは未だ見つからないものの、謎に迫る新たな論点もいくつか明らかになり議論を深化させることが出来ました。なお、言うまでもなくここで述べられている見解は筆者「時空トラベラー」の私的なものであり、いかなる団体や組織の見解を代表するものではありません。





2020年12月12日土曜日

Nikonの逆襲!〜やっぱりNikon Z7IIを手に入れた〜



ここのところずっとNikon D850、DfのデジイチとLeica SL2ミラーレスを愛用してきた。ミラーレス全盛時代の2018年9月に発売されたNikon Z7、Z6は気になる存在であったが、初物食いはしない、ニコンFレンズ群資産を活かしきれない、それとなんとなく家電製品的な仕上がりの印象であること、(といった言い訳は別にして最大の理由は資金がない)、等々で手を出すことはなく様子見をしていた。その後、Zレンズラインアップも充実し、Zエコシステムも形成され始めた。今年の12月11日ついに、その改良版Z7II、Z6IIが発売になった。約2年ぶりのバージョンアップである。やはり、初号機は色々と初号機なりの未完成な部分や、改良の余地が多々あるもので、プロやハイエンドアマチュアの意見が十分は反映されていないなど、完成途上にある製品との認識であったが、今回その改良版2号機が登場した。この時点がZシリーズミラーレスの買い時かどうかは迷ったが、まずD850やSL2と使用感を比べてみたくなり決断した。特に様々なメディアでZレンズの作品を観て、これは(Fレンズファンには残念だが)Fレンズを超えた異次元の世界に踏み込んだようだと感じた。Z Nikkor 24-70/2.8S をぜひ使ってみたくなった。そのうちZ Nikkor 50mm/1.2もぜひ使ってみたい。今回はZ7IIボディーと、Z Nikkor 24-70/2.8Sをセットで購入することにした(F用マウントアダプタも)。そのために、SL2導入ですっかり出番がなくなってしまったSONYα7RIIと大三元レンズ3本をまとめて退役させ、下取りに出すことにした。ちなみにD850、DfとNikon Fシリーズレンズ群はそのままキープする。したがって私の撮影機材はNikonラインとLeicaラインの二系列に整理された。予約を入れ発売日に入手できた。例によってマップカメラでNikon Z7II販売促進、買い替え促進、下取りプラスで大幅な下取り価格アップ特典を享受でき、差額のキャッシュアウトが最小限で済んだことは嬉しい!

Z7IIはカタログ上、サイズ外見や4575万画素CMOSセンサーなど基本部分は変わらないが、初号機に比べると見えないところで大きな改良がなされているという。一番の変更点は1)画像エンジンEXPEED6を2基搭載でよりパワフルになり処理速度が高速化したこと。すべての点でストレスフリーの撮影が出来る。2)これにより高速連写能力が大幅にアップ(10コマ・秒、最大77コマ連写)。息継ぎなく使える。3)AF性能が向上。低輝度でも高速で合焦する他、瞳AF、動物AF,またワイドエリアAFなど多様なモードが使える。4)メモリーカードが2スロットになった。これは当然の進化。1スロットはニコンのこだわり高速CFカード用で、もう一方はSDカード用。5)細かい点だが、グリップが持ちやすくなった、ホイールのローレットが深くなって指掛かりが良くなった、などのエルゴノミクスが改善されたようだ(Z7初号機を使ってないので伝聞調で)。こうしたプロやハイアマチュアの意見を聞きながらの地道な改良、バージョンアップはニコンの伝統だろう。ニコンは遅れて参入したミラーレス市場に、猛烈にキャッチアップしてきた感じだ。なによりそのレンズラインアップの充実ぶりでライバル他社を圧倒しつつあると感じる。


まず開封後、手にしてみて気づいたことを思いつくままに書く。

1)AF合焦速度が早い、迷いなくピタッと来る。しかも低輝度でも高速合焦するのは驚き。AF性能の向上は感動的だ!D850も早いがそれを上回る。動物AFはまだ使っていないが、ポートレートの瞳AFは極めて有効に機能する。こうした点はSL2を大きく上回る。もっともSL2の方も、来年早々にはファームウェアアップデートでAF機能追加がある予定だが。
2)ミラーレスなら当然とはいえシャッター音が小さく振動がない。手ブレ補正に加え、かなりの低速シャッターでも手持ちでOK! D850でライブビューモード(ミラーを跳ね上げて背面液晶画面で見る)にするとシャターディレイというかタイムラグがあったが、これがなくなった(これもミラーレスなので当然だろうが)。
3)高画素機なのにやはり高速連写がすごい!息継ぎなしで使える。これこそ先述の心臓2倍、余裕あるバッファーメモリサイズの成果だ。また高感度のノイズもよく抑えられている。ISO6400ではノイズが気にならない程度。Z6IIとの比較を見てみたいものだ。
4)設定できる機能、メニューが細かくて多い。とても多機能だが全部はほぼ使わない。選択と慣れが必要。初期設定に時間がかかった。露出補正、ISO感度設定、絞り設定、測光設定、AF設定など、基本的なものだけでも撮影ルーチンに落とし込むのに手間がかかった(わかってしまえば何ということはないのだが)。取説にはほとんど設定に関する記載がない。必ずしも機能てんこ盛りで選択肢が多ければよいわけでもない。かえってSL2のミニマルな姿勢には十分理由があることを認識させられた。
5)思ったよりサイズはコンパクトでボディー自体は軽量。SONYα並。しかし剛性感もありビルドクオリティーは悪くないが、やはりD850やSL2に比べるといまいち「お道具」感が薄い。SONYのように無理に小型化する路線を真似る必要はないと思う。Zマウントは口径サイズ55mmとなり、フルサイズミラーレス機中でも最大。せっかくの大口径マウントなのだからボディーには適度なサイズが必要で、手に馴染み、重量も安定感がある方がいい。しかもどうせレンズは高性能になるにしたがってデカくなるのだからバランス上もある程度の質量とサイズは必要。それからプラスチック部品が原因だろうが部材の選定が全体の質感に影響を与える。それとペンタ部のデザインは馴染めない。なんとかならないか。トータルに見てまだ成長過程にある子供のようで、可愛くもあるがまだ未熟で形もアンバランス、成熟した大人の美しさにはまだ追いつかない。D850の品がありで知的な姿を横目で見つつ。
6)Zレンズのビルドクオリティーはなかなか良い。大三元レンズの一つ、標準ズームのZ 24-70/2.8 Sは、Fのそれに比べコンパクトになったが質感は悪くない。液晶ディスプレーが鏡胴上部についていて、焦点距離や絞り値などがデジタル表示できる。便利だが、なんかデザイン上のエレガンスをスポイルしている。せめて液晶面を平面ではなく鏡胴のアールに合わせて曲面にしてはどうか。
7)そしてZニッコールレンズの写りの良さ!これに尽きる。手に入れたZ Nikkor 24-70/2.8 Sの解像度、収差の少なさ、ボケの滑らかさ、情報量を余すところなく写し取る力は、16mmフランジバックと55mm大口径のマウントとフルサイズセンサー、二馬力画像エンジンと相まってその最高の出来だと感じる。同じFマウントのF Nikkor 24-70/2.8と比べてもその進化度は驚異的。テスト画像を見ると画面の隅々までシャープに解像している。ライカのLマウントレンズの強力なライバルとなる。いや少なくともズームレンズに関してはそれを上回る性能だ。あとはその画が好きになるかどうかだ。作例についてはこれから徐々に撮りためてじっくり観てみたい。
8)Fレンズ用アダプターは装着するとあまり格好いいとは言えない。それにFレンズをくっつけるとデザイン的にもアンバランス。あまり良い佇まいではないので頻繁には使わないだろう。もっともオールドニッコール(マニュアルフォーカス)をEVFでピントをシビアーに確認しながら覗く楽しみは別だが。
9)ボディーはタイ製。高品位レンズは日本製。価格最適化、経済合理性を追求するなら、海外生産は是なのだろうが、NikonイコールMade in Japanと固く信じている私にとってはガックリ。設計や生産管理は日本の技術で品質や性能に変わりはないことはわかってるが、Nikon一神教、原理主義からは受け入れられない。ここは保守的に行きたい。多少値段が高くても日本製のニコンにこだわりたい。


以上ごく私的な第一印象だけを羅列した。その上でのさらなる感想を書き留めておく。

1)一方でこれまでLeica SL2を色々とけなしてきたが、こうやって見比べてみると思った以上によく出来たカメラであることを再認識した。シンプルで使いやすく工夫されている。不満タラタラであった重さも、いまや手にずっしりとした質感がたまらず肯定的になっている自分がいる!フルメタルボディーのひんやりした手触り、剛性感もあらためて感動!レンズ群の素晴らしさだけで我慢していたことを後悔している。
2)またNikon D850は完成されたカメラであることをあらためて実感。特にFレンズとの組み合わせのシステムは完成域に達している。これ以上のデジタル一眼レフカメラはないだろう。道具としての成熟には、プロ・アマに使い込まれ、鍛えられる「時間」という要素がどうしても必要だ。それだけの時間、持続して使われ、改良を重ねて進化してきた実績は何にも代えがたい。Zシリーズもこれから時間経過に伴い成熟した道具に進化するのだろう。
3)ZシリーズミラーレスやはりFシリーズのデジイチとは別のカメラだ。FはF,ZはZと別系統として扱うほうが良さそうだ。ミラーレスZは、まだまだ未完成のシリーズだが、徐々にレンズ群が充実してきているのが楽しみだ。今回は標準ズームしか手に入れてないが、Fマウントサイズの「桎梏」から開放されたこのZレンズシリーズの性能には期待が高まる。ボディーの方はニコンの今後のフラッグシップとしてDependable & Durable Nikonの称号を冠するかどうかはこれからだ。Z 9〜Xくらいになると完成域に到達するのだろう。そしてだんだん使いこなすうちに、手に馴染み、愛着のわく「お道具」に育っていくのだろう。熟成には時間が必要だ。それを可能ならしめる技術力の維持向上と、経営の持続性が求められる。








さりげないZ7IIのエンブレムが好ましい

高品位レンズの証 Nikkor Sのエンブレム

(撮影機材:Nikonへのレスペクトを込めて、永遠のライバルLeicaのSL2 + Apo-Sumicron-SL 50/2で撮影)



(Nikon Z7II + Nikkor-Z 24-70/2.8による作例)







ISO100


ISO6400
ノイズを感じさせない


2020年12月6日日曜日

生け垣が美しい里 〜伊豆奈良本散策〜

 


伊豆の奈良本は、伊豆半島の東海岸、天城山の麓に広がる山里である。現在の町名は賀茂郡東伊豆町。熱川温泉といったほうがわかりやすいかもしれないが、温泉街は伊豆急の熱川駅を下って海岸べりに位置しているのに対し、もともとの奈良本村は駅から山の方へ登った天城山麓に位置している。伊豆急線が開通する以前は、この奈良本村の真ん中を旧国道135号線が走っており、伊東から連絡する村内のバス停が唯一の公共輸送機関であったという。温泉に行く人達はこのバス停で下車し、各旅館から迎えの人が坂を上がって来て、荷物を持ってもらって坂を下って行ったそうだ。以前のブログ(下記参照)で紹介したので詳細は省くが、この里はかつての奈良時代の落人集落であったという。そのせいか人々はどことなくみやこ風で柔和な風貌と言葉使いである。温暖な気候と、明るい土地柄も相まって、その末裔が子々孫々暮らすこの里は雅さえ感じる佇まいである。里を散策していて気づくのは、立ち並ぶお屋敷が、それぞれ広大な敷地を有し立派であること。特に、美しく刈り込まれたイヌマキの生け垣が連なる独特の景観を生み出している。どのお屋敷も農家で、生け垣の内には松やみかんの木が形よく植えられ、色とりどりの花が美しく咲き誇っている。それぞれの家が、敷地外にみかん山やいちごのハウス、畑、山林を有していて、ここから野菜、果物、山菜やきのこを収穫し、さらに山で獲れるイノシシ、鹿などの肉を手に入れることができる。海の幸以外の山の幸はこの里、里山で自給自足できるそうだ。こうした地産地消の生活と、食を体験できるのが作右衛門宿山桃茶屋である。ここの名物「山家料理」は、実に素朴な素材を豪華に並べる、いわば里の「満漢全席」だ。このお屋敷も広大で見事に手入れされた母屋と蔵を有する古民家で玄関にそびえる山桃の古木が象徴的だ。奈良本の庄屋屋敷であった。

このイヌマキは、じつは千葉県の「県樹」に指定されている。房総半島の館山にもイヌマキの生け垣の家が多いと言われている。伊豆半島にもこれほどの生け垣のお屋敷が並んでいるのは、房総半島と気候風土が似ているからであろうが、他にもなにか文化的なつながりがあるのではないかと感じさせる。近世以降においては紀伊熊野、尾鷲や伊豆下田、安房の船乗りは、ともに同じ船に乗り込み沿岸航路の廻船業に従事していたという。江戸時代の漂流民の記録を見ると土佐、紀伊、伊豆、安房出身者がよく出てくる。また紀伊半島の漁民が伊豆半島や房総半島に移り住んだり、和歌山湯浅の醸造業者が千葉の銚子に移り住んだりした事実からも、この地域の交流が実証される。日本列島の太平洋岸の海洋民は黒潮貫くこの海を生活の場としていた。そう黒潮は紀伊半島、伊豆半島、房総半島をつなぐ「海のシルクロード」であったのだろう。そうしたつながりが、太平洋に突き出したこの3つの半島に同じような生活文化と風習、集落の景観を生み出したと考えても不思議ではない。古代において都の政争に破れ流刑の地にやってきた落人の末裔だけでなく、黒潮海洋民の末裔、そういった多様な血筋が混ざりあった文化と風土。それらが伊豆奈良本の里独特の景観を生み出しているのだろう。そう考えると、歴史はその表舞台に名を残す人物だけのものではなく、名こそ残さないが、確かな交流の痕跡を残す庶民、生活者がもう一面の主役であると感じる。この小さな、穏やかな、そして豊かな里を散策していてそう思う。


見事に刈り込まれた生け垣と門

城郭のように見えなくもない

アクセントにツワブキが彩りを添えている

門の刈り込みにはその家の特色が出ている


こちらは生け垣ではないが屋敷林
旧国道135号線沿線

奈良本の町並み

懐かしい赤いポストも現役

石仏様

作右衛門宿・山桃茶屋
元は奈良本の庄屋屋敷であった
ひときわ立派な屋敷と蔵が目を引く


奈良本の鎮守の神様
水神社
古代に奈良から移り住んだ人々が勧請し建立した。その由来が記されている。


御神木

御神木越しにみかん畑とリゾートマンション



曹洞宗の禅寺「自性院」みかん畑


「自性院」の六地蔵様








参考過去ログ:

2018年11月18日「伊豆奈良本散策」


(撮影機材:Leica SL2 + Lumix-S 20-60, Lumix S-Pro 200-400/4)