花のお江戸にはいたるところに桜の名所がある。定番の上野公園、千鳥ヶ淵、靖国神社、飛鳥山のほか、この辺では江戸時代末期には品川の御殿山も桜の名所だった。しかし幕末のお台場建設や、明治以降の鉄道建設で、御殿山は取り崩されてしまった。代わってというわけではないが、この辺りでは最近は目黒川沿いが人気のお花見スポットになっている。別に遠くまで出かけなくてもご近所も花盛りだ。あいにくの雨ではあるが、晴れていれば花見客のブルーシートで場所取りされる桜並木も、より静かに桜花の季節を楽しめる。今年巡ったお江戸のお花見コース、目黒川、八重洲さくら通り、大森界隈、どれも雨にけぶる桜花。目黒川は早くも花筏。忙しく動き回る人や車で溢れる街中でふと見上げる桜並木。桜花散り敷く雨の大森貝塚庭園。それも悪くない。
だが、概して桜の季節は慌ただしい。やれ「開花はいつだ」「満開はいつだ」「桜前線が北上中」「見どころはどこだ」「あそこが咲いた、ここが散った」「晴れた、雨が降った」とほとんど一週間くらいの間に、右往左往する。日本中の景色が桜色に変わり、普段見慣れない風景が一瞬に現れる心騒がしい季節だ。私はむしろその「桜狂想曲」が終章に至り、街や里が落ち着きを取り戻す新緑の季節、「青紅葉セレナーデ」の方が好きだ。桜の陰に隠れて話題にならない花々も一斉に咲き誇っていることを知る。
目黒川沿い(大崎から五反田あたりは人も少なくゆったりと桜見物ができる)
日本橋さくら通り(東京駅八重洲口から日本橋の高島屋、丸善につながる通りは都心のさくらの名所)
大森界隈(JR大森駅付近の線路沿いの遊歩道沿いは桜並木。大森貝塚庭園からの眺めも最高だ)
最後におまけの写真。12日になってやっと晴れたが早くも花吹雪。西大井駅あたり。
旧原小学校 |
旧原小学校 |
西大井駅 |