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2011年5月1日日曜日

新緑の長谷寺と室生寺を巡る










長谷寺と室生寺は私の大和路散策の定番コース。どの季節にも違った佇まいを持った大和の古刹だ。しかし、この二寺を同時に回るのは意外に大変だ。長谷寺は近鉄長谷寺から徒歩15分程。急行は普段は停車しないので、桜井で乗り換えだ。また、室生寺は近鉄室生口大野から普段は一時間に一本程度のバスで15分程渓谷をさかのぼる。

この連休の時期のいいのは、近鉄の急行が長谷寺駅に臨時停車すること。そして長谷寺と室生寺の間を奈良交通が直行臨時バスが15分ごとの出発で結んでいること。今回は上六から長谷寺まで近鉄急行で直行し、その臨時バスで室生寺へ向い、帰りはバスで室生口大野まで、そこから近鉄急行で上六まで一本で帰る,というコースで一日に二寺を拝見することが出来た。

長谷寺は「花の御寺」として四季折々に美しい花で包まれることで有名だが、この季節は牡丹が有名だ。特に登廊の両側に咲く牡丹は長谷寺を象徴する花だ。そして女人高野室生寺は言うまでもなくこの時期は石楠花。鎧坂両側の見事な石楠花が有名だ。

しかし、今年はやや花牡丹も石楠花も開花が遅れているようだ。石楠花はそれでも薄いピンクや白い花を開かせて見頃を迎えつつあるが、長谷寺の牡丹はチラホラで寂しい。一昨年来た時は同じ日で、牡丹は満開だったが...

実はこの時期の圧巻は,青紅葉などの新緑だ。塔堂、堂宇を飲み込まんばかりの新緑の大海に長谷寺も室生寺も埋もれてしまう。この若々しく瑞々しいうまれたばかりの緑の美しさを堪能することが出来る。

長谷寺は真言宗豊山派総本山。西国観音霊場第八番。御本尊の十一面観音菩薩は身の丈十メートル余。近江の国高島から来た楠の霊木を用いた木造漆箔造り。見上げるお姿に誰しも心の安らぎと感動を与えてくれるお姿。あでやかな牡丹を瑞々しい新緑に包まれた長谷寺。平安貴族のあこがれの地であったことが不思議ではない。

長谷寺からは初瀬街道を直行バスで走り。室生川沿いの渓谷の新緑の連続にため息をつきながら室生寺へ。深山幽谷のこの地に開かれた山林修行の寺は女人の参詣を許したことから「女人高野」と呼ばれたことは周知の通り。金堂内陣におわします諸仏のお姿はこのような奥深い山と渓谷に囲まれたこの地に極楽世界を出現させている。なかでも本尊の一木造りの釈迦如来立像、ほぼ等身大の一木造り十一面観音菩薩立像が有名。土門拳のモノクロ写真作品を思い起こす。

室生寺の五重塔は屋外に建つ塔としては最小のもの。平成10年の台風で大きな損傷を被ったが、平成12年に修復落慶した。鬱蒼とした杜に凛として佇むその姿は、いつも大和路を行く旅人のあこがれの光景だ。

限られた時間で堪能出来た。しかも、連休初日というのに、それほどの観光地ラッシュはなく、人でもまあまあ。この辺が首都圏の観光地と異なる所だ。やっぱり関西はヤメられない。