桜が華々しく咲いて、華々しく散って行くと、なんだか宴の後、春が終わってしまったような静けさとなる。しかし、春はこれからが本番だ。
遅咲きの八重桜、ハナミズキ、山吹、レンゲ畑...そしてみずみずしい新緑。奈良、大和路はこの頃の緑が一番美しい。さらに五月に入ると、室生寺の石楠花、長谷寺の牡丹、春日大社の砂ズリの藤...等々、豪華な花の響宴が続く。
昨日までの雨も止んで、今日は久しぶりの快晴。心地よい風が大和の國中を吹き渡っている。今、青紅葉が美しく輝き始める季節の到来だ。奈良公園や春日大社の杜、高畑町辺りを散策すると、眼の覚めるような青紅葉が迎えてくれる。ふと,眼を転ずると、新緑とまだ咲いている山桜と濃い常緑樹の緑とが綾なす春日山原生林、若草山が奈良にみずみずしい春の訪れを告げている。
いろいろとあって,今年は桜を堪能出来なかったが,その分,煩悩から解き放たれ歩く新緑の奈良公園、春日大社の杜、高畑町界隈。久しぶりに心が躍った。巡る季節、再生、新しい生命の息吹を感じる春だ。
奈良市写真美術館に立ち寄り,入江泰吉氏の「万葉四季の花」2巻を手に入れた。