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2018年8月11日土曜日

ニコンよお前もか! 〜ついにフルサイズミラーレス登場!?〜

 ニコンが新マウントフルサイズミラーレス機をいよいよリリースするようだ。一眼レフの王者「ニコンよお前もか!」と思わず言葉が出てしまった。ミラーレスというとフラッグシップ以外の系列のカメラという捉え方であったが、本格的なプロ用、ハイエンドアマチュア向けのラインアップが予想されている。ニコンのミラーレス市場再参入。かつて1型センサー搭載のミラーレスを出しているが、撤退した経歴を持つニコン。フルサイズでの再参入。しかも新マウント導入。永遠不滅のFマウントをついに放棄するのか? ニコンミラーレスには色々意見があるようだ。今更? 一眼レフはどうなる? Fマウントレンズはどうなる? しかし、これは間違いなくニコンにとって大きな「時代の画期」となるだろう。不可逆的な歴史の理を感じるからだ。


ニコンのTwitter上で公開されたフルサイズミラーレスのティザー広告画像
出典不明のリークイメージ


 カメラ事業の世界も他の事業分野と比べて例外ではなく、技術イノベーションが、そのプレーヤーに皮肉な歴史上の巡り合わせを強いる。1950年代初頭、ライカM3の登場でのライカの光学レンジファインダー機を越えられず、一眼レフ(プリズム/クイックリターンミラー!)に転換したニコンが、やがてライカを凌駕し、一眼レフでプロカメラ市場の世界制覇を成し遂げた歴史はあまりにも有名だ。しかしそのニコンがデジタルトランスフォーメーションという技術パラダイムシフトに伴って登場したミラーレス、すなわち電子ビューファインダーを搭載したカメラの扱いに揺れている。先述のようにニコンもニコン1として一度はミラーレス市場に参入している。しかし、フラッグシップ機とは別系統のアマチュア向けのラインアップとしてであった。そして今、ソニー(かつてのミノルタ)αシリーズがミラーレスフラッグシップの先頭を走っている。いよいよニコン、キャノンの牙城であるプロ向け機材市場への参入を始めた。一方レンジファインダーにこだわって周回遅れを期したライカも、この機会に雪辱を果たすべくミラーレスでゲームチェンジャーになろうとと躍起になっている。デジタルトランスフォーメーションへの道はマイスター職工企業ライカには厳しい道のりのように見える。それでもレンジファインダー機Mシリーズとは別系統のLマウントのSL, TL2, CLを次々投入してきている。キャノンも動き出した。銀塩フィルムから画像センサー+画像エンジン(ソフトウェア)へと、撮像に必要な要素技術がデジタルシフトするに伴い、フィンダー自体も光学レンジファインダー、一眼レフ、ミラーレス(電子ビューファインダー)と革命的なパラダイム転換が進んでいるわけだ。

 ユーザから見ると面白い時代になったが、メーカーから見ると大変な時代になったものだ。光学レンジファインダーやミラー/プリズムファインダーがハイエンドカメラのクラウンジュエルである時代が終わろうとしている。電子的なデバイスが光学的なデバイスに100%取って代わるとは思わないにしても電子ビューファインダーが、アマチュア向けのギミックのような付加物である時代が過ぎ、本格的な撮影に使える高精細なファインダーに進化してきたことは否定できない。それに伴い徐々に主役の座を占めつつあることに違和感はない。一方でこうした技術の進化が製品のコモディティー化の速度を飛躍的にあげていることも否定できない。スマホカメラがその代表だ。単価は低いが量を稼げるコンパクトカメラがスマホカメラの登場で大打撃を受けている状況を考えると、プロ向け、ハイアマチュア向けフラッグシップ機はカメラメーカーの生命線になるだろう。もちろんニコンもキャノンもカメラなどイメージング機材だけでなく、半導体ステッパーや医療用機器、OA機器などの領域での競争も厳しい。今やこれらの産業用機器が、じつは我々が考えている「カメラメーカー」の主要な営業収益源となっているのであるが、カメラファンの視点でみると、なんとかカメラ事業継続を望みたい。ニコンブランドは大きな価値のあるブランド、いわばカメラ界の大名跡である。ライカの道など真似る必要はないが、このブランドエクイティーを生かした成長戦略もあると考える。

 ニコンが8月23日に「特別な発表会」をライブ配信すると予告したこの時期、私はニューヨークからやってきたVictorとShioriと共に、品川のニコンミュージアムに後藤フェローを訪ねた。レジェンダリーニコンF3の開発者で、その後、次々とニコンフラッグシップ機の開発、市場投入をリードしてきたマエストロ後藤さんにお会いできただけでニューヨークのフォトグラファー達は舞い上がっていた。しかし、私の関心はもちろん話題のミラーレス。後藤さんから、間も無く発表されるニコンフルサイズミラーレスについて、人より少しでも早く情報を聞き出そうと、色々水向けるが全く口が硬い。普段は熱くカメラを語る後藤さんも、本件に関しては「今は言えない」の一言。引っ掛け質問にも反応せず、なんとか新マウントについて「ポロっと」喋ってしまわないかと誘導尋問を仕掛けてみたが片鱗も聞き出すことができなかった。「Fマウント用アダプターは出しますよ」と。しかしこれはすでに発表済みですから知ってます。「ここだけの話ですが...」などと軽々しく話をしないところは流石だ!こうなるとますます期待がふくらむ。さあ、発表が楽しみだ。どんなニコンシリーズが登場するのか!



愛機F3とその生みの親後藤フェローとの感動の記念写真!


ニコンのウェブサイトに新マウントフルサイズミラーレスの関する一連のテザー広告が:

https://events.imaging.nikon.com/live/jp/


以下は「デジカメWatch」ウェッブ版記事を引用。

ニコンは7月23日から、同社Webサイトで新型カメラを予感させるコンテンツを複数公開している。ここで8月10日時点の内容をおさらいする。
・7月23日:スペシャルサイト公開。新型カメラを予感させる映像が初公開
・7月25日:「新マウント採用のフルサイズミラーレスカメラ」開発発表
・8月23日:“ニコンの特別な発表会”ライブ配信日
・9月1日〜:全国7都市の巡回イベント「ニコンファンミーティング2018」
8月23日13時(日本時間)から“特別な発表会”のライブ配信が予告されており、7月25日に開発発表された「新マウント採用のフルサイズミラーレスカメラ」の正式発表が期待できる。9月1日からは、日本の7都市を巡回する「ニコンファンミーティング2018」も決定している。
8月23日に正式発表され、9月1日からのファンミーティング会場で実機を試せる、というのが予想できる流れといえよう。
8月に入ってから、それぞれ30秒程度の動画「MOUNT」と「BODY」の2本が公開されている。
「MOUNT」は、ニコンFなど歴代一眼レフカメラのマウント部がアップになる映像。マイナスネジ4本で固定されたシンプルな見た目のFに始まり、最新のD5ではビスも増え、AFカップリング、電子接点、可倒式の連動ガイドなど多機能になっていることがわかる。ラストシーンでは、新マウントのバヨネットが4枚爪(Fマウントは3枚爪)で、取り付け指標とレンズ脱着ボタンが3時位置に見える。
バヨネットの形こそ1959年から変わらなかったニコンFマウントだが、あらゆる機能の“建て増し”を実現してきたマウントでもある。新型ミラーレスカメラに用意されるというFマウントアダプターが、その連動機能をどこまでサポートするのか楽しみだ。
「BODY」は、ニコンI型からニコンD5までの様々な操作部がクローズアップされる。具体的にはシャッター速度ダイヤル、レリーズボタン、ファインダーの接眼窓、電源レバーなど。新しいフルサイズミラーレスカメラが、玄人好みの操作性であることを期待させる。