牛込神楽坂。江戸時代は江戸城外堀の牛込御門に通じる坂であり、西から江戸市中に入る交通の要衝でもあった。「江戸名所図会」(天保7年)によれば、この地に八幡宮があり、「神楽坂」の地名は神輿、御神楽に因んだものと言われる。現在は若宮八幡や牛込総鎮守赤城神社ある。また徳川家康の開基になる日蓮宗の毘沙門天善国寺がある。昔からこうした人々が集まる参詣道や殷賑な通りの周辺には花街が生まれる。ここは赤坂、浅草、向島と並ぶ「六花街」の一つとして栄えた。その伝統は大正時代に隆盛を誇った花街に引き継がれ、検番や芸妓楼、今も残る狭い路地にその面影を残している。そして文人墨客はこうしたところに集まる。あたりには尾崎紅葉、泉鏡花などの旧邸跡があり、夏目漱石や林芙美子の小説にもこの辺りが登場する。メインストリートの坂沿いは商店街となっており、瀬戸物屋や和菓子屋、八百屋が並び、山の手の住人の買い物通りとして発展し、関東大震災以降は「山の手銀座」と言われる程の賑わいを見せた。昨今、近隣の住宅のマンション化、コンビニやチェーン店が増え、次々老舗が閉店するなど、かつての風情が失われている。それでも表通りを一歩入ると、静かな路地や横丁が縦横無尽に走っており、現在でもその独特の雰囲気を残している。近隣には東京理科大学があり、また日仏学院があることから、フランス人をはじめ、外国人の姿を多く見る。こうした路地には小料理屋や料亭の他にも、フレンチレストランやカフェ、そしてギャラリーが多いのも、こうした土地柄なのだろうか。伝統的な和の佇まいの中に、洋のモダンが上手く融合する、新しい街の姿を現出させている。
谷根千などの下町とは、ちょっと趣の異なる山の手の「下町」だが、江戸情緒を今に残す国際都市東京のフュージョン・スポットだ。なんか、ふと大阪の空堀通り商店街を思い出させる。町の成り立ちや性格は全然違うのだが、歴史ある商店街を中心に、古い街並みを保存修景し、路地を上手く活かした町作りを住民主導で進めている点はオーバーラップする。そう「路地裏」がキーワードなのだ。景観破壊の進む大都会の一隅に、ほっとする安らぎとワクワクする賑わいを見つけた。一回行ったくらいではその全容がわからない、まだまだ探検しがいのある町だ。
|
牛込神楽坂圖 |
|
神楽坂の毘沙門様「善国寺」 |
横丁と小路の迷宮を徘徊す(縦位置写真集)
神楽坂のメインストリートはこんな風だが、この町の妙は、表通りを一歩入った奥に広がる路地裏の迷宮だ。石畳の横丁や小路が入り組んでいて道に迷うが、その迷子を楽しむ不思議がエモいわれぬ魅力となっている。ここからは、カメラを縦に構えて異世界に分け入ってみよう。
|
こんなところ通れるのか?という路地 |
|
毘沙門天善国寺から石畳の路地へ 聖俗の分かれ道 |
|
兵庫横丁へ |
|
兵庫横丁 |
|
路地裏フレンチ |
|
猫由来の雑貨屋さん? |
|
路地といえば植木鉢 |
|
小路の小料理屋。いいねえ! |
|
酔石横丁 |
|
高低差もちゃんとある |
|
石畳が風情ある |
|
居酒屋 |
|
階段の手すりもアールヌーボー? |
|
Hey ! Siri ! |
|
かくれんぼ横丁 |
|
飯田橋駅外堀沿の「キャナル・カフェ」 |
|
江戸城外堀を望むテラス |
|
ボート乗り場へ |
(撮影機材:Leica Q3 Summilux 28/1.7一台で全て。最高のブラパチお散歩カメラ!)
アクセス:
神楽坂下から登るなら、JR飯田橋駅。神楽坂上から降るなら、東京メトロ神楽坂駅。今回は「人生下り坂最高!」を選択。