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2025年10月27日月曜日

Leica M EV1登場 〜M型ライカから光学レンジファインダーを取ったら何が残るのか?〜

 

Leica M EV1  (Leica Camera AGウェッブサイトより)


Leica M11 Silver(比較用)

フィルム時代のLeica MD






10月3日、以前から噂されていた電子ビューファインダー搭載のLeica M EV1ついにが発表になった。Mシリーズの新製品登場!しかしどうしてあまり興奮しないのだろう。なぜか物欲が全く刺激されない。したがって「速攻予約」とはならなかった。

M EV1は、M11から光学式距離計ファインダー(レンジファインダー)を取り除き、Leica Q3の電子ビューファインダー(EVF)に置き換えたもの。言ってみれば「ミラーレスM」である。もともとMにミラーはないので、ニコンのような一眼レフからペンタプリズムとミラーを取り除いたカメラとは異なり、「レンジファインダーレスM」ということになる。それ以外の基本スペックはM11と全く同じ。EVFによりバッテリー使用時間がM11より3分の1程となる。貼皮がQ3と同じダイアモンドパターンに変わり、ISOダイアルが廃止された。レンジファインダーがなくなった分重さが494gと若干軽くなり、価格もM11よりは若干低く設定されている。

私は保守的なMユーザではないし、レンジファインダーに拘ってもいないので、電子ビューファインダは歓迎だし、Q3でそのメリットを大いに享受している。しかし、このM EV1にはどうも惹かれない。まず外見がセクシーじゃない。Mから正面のファインダー窓がなくなり、それに伴う段差もなくなり、さらにISOダイアルも無くなった。怪談に出てくる「のっぺらぼう」みたいでショックを受けた。にもかかわらず、レンジファインダー用の測距窓だけは残している。セルフタイマーの点滅ライトだという!?一眼レフカメラと異なり「ミラーレス化」すると、ファインダー窓のある特徴的な外見は大きく変容を強いられる。デザイン的な工夫がないと、ただ「レンジファインダー」を取っただけの姿になりむしろ痛々しい。フィルムライカの時代にファインダーのない「のっぺらぼう」モデルもあったが、医学用などの特殊用途向けであった。伝統的なデザインとスタイル。それに最新技術を組み合わせる。デジタル化の過程でライカMはその試行錯誤の歴史を歩んできたが、今回もその一里塚なのだろう。

それにしてももう少しなんとかならなかったのか。フジフィルムのようなハイブリッドファインダーは考えなかったのか?Mからファインダー窓を取ったらMじゃない。むしろQシリーズ(元々レンジファインダーを前提としてないところからスタートしたデザイン)でレンズ交換できるモデルを追加して欲しいとさえ思う。幸いM11は継続発売されるし、レンジファインダー機は無くならないので、モノクロ専用モデルや液晶省略モデルと同様の、いわばMの派生モデルの位置付けなのだろう。またM EV1とあるので近い将来に改良版の2が出るのだろう。どんな答えを出すのか期待したいが、MはMのままでよい。当面、Mレンズ資産を「ミラーレス」で使いたけらばはSL3ボディーがあるので問題ない。

このカメラでどのような撮影体験ができるのだろう。カメラは写真撮影にとってとても大事な「お道具」なのだから、まずその「良い仕事しているお道具」に惹かれなければワクワクする撮影体験もできない。技術的な合理性だけでは感性は刺激を受けない。感性を刺激してくれる「お道具」。それがライカの魅力のはずなのだ。次を楽しみに待とう。

ちなみにLeica MのMは、Messsucher、すなわち「距離計」を意味する。


正面のファインダー窓と段差がなくなった
背面

軍艦部 ISOダイアルがなくなり寂しくなった


電子ビューファインダ まるでQ3のファインダーだ




(写真はLeica 社HPから引用)