今年も大阪城公園に桜の季節がやって来た。
東日本大震災からちょうど一ヶ月。未だに多くの人々が行方不明。復興も緒に就いたばかり。福島は原発事故の収束見通しも立たず,今日はとうとうチェルノブイリ事故に並ぶレベル7になってしまった。まだまだ前途多難の日本だが春は確実にやってくる。
会社から近い大阪城公園は、いくぶんお花見自粛ムードだが、それでも花見を楽しむ人々であふれた。桜は今年も精一杯咲いた。石垣とお堀と天守閣を彩る桜の樹々。典型的な日本の春のシチュエーションだ。東京なら皇居、千鳥ヶ淵と桜。お城と桜は欠かせ得ない舞台装置。
満開をやや過ぎた今日は、お堀に花筏があちこちに漂っている。そういえば樹々の根元にも桜吹雪が... 風情たっぷりに散りゆく桜。これもまたよい。
ところで今見えているこの大阪城、太閤さんの夢のあと。なにわ大阪のシンボル的存在だが、現存の縄張りは1615年大坂冬の陣、その翌年の夏の陣の後に徳川によって全く新たに構築された徳川の大坂城である事を知る人は意外に少ない。大阪のシンボルにケチを付けるつもりはないが、今の大阪城は豊臣秀吉の大阪城ではないのだ。
冬の陣の後に外堀さらには内堀までは埋め立てられ、その後の夏の陣で天守閣は焼失し、本丸や西の丸などの城内の構造物は徹底的に破却され、埋め戻されている。その跡に石垣も全く新たに組み直し、壮麗な天守閣を建設した。要するに豊臣色を完膚なきまでに抹消して新たに建てられたのが今の大阪城だ。偉容を誇る巨大な城は、徳川の時代をなにわに誇示するかのように再建されたものだ。
豊臣大坂城はいまや完全に地下に封じ込められて,日の目を見る事は無くなってしまった。豊臣時代の石垣はわずかに北西の角、ドーンセンターの辺りに見えるくらい。
いまは大阪市民の憩いの場、観光名所となり、内外の観光客で賑わう。...というものの,震災以降、中国、韓国の観光客がぱったり来なくなった。観光バス用の駐車場は閑古鳥鳴く。太閤さんも徳川さんも,あくびしてはるワ。
アクセス:
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