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2019年4月27日土曜日

今年の日比谷公園はネモフィラが主役!




今日も頑張る働きバチ
 


 あわただしく桜の季節が過ぎ去ると、都心のオアシス、日比谷公園にはチューリップが植えられ、ハナミズキと木々の早緑を背景に咲き誇るというのが例年の景色なのだが、今年は、チューリップに代わってネモフィラが一面に植えられて可憐な青の絨毯を演出してくれている。

 ネモフィラが、こんなに人々の間で愛でられる様になったのは比較的最近のことではないだろうか。昔はあまり聞かなかったし、目にする機会も少なかった様な気がする。もともとはアメリカ西海岸原産の一年草で、その爽やかな青の花弁からBaby Blue Eyesと呼ばれている様だ。なるほど青い目の小さな子供を彷彿とさせる可憐な花だ。日本でネモフィラといえば、国営ひたち海浜公園や、国営昭和記念公園、国営海の中道海浜公園などの広大な丘のアンジュレーションを利用した一面のネモフィラ景観が有名だ。思いがけず、我が日常的な仕事場テリトリーである都心の日比谷公園でこのようなネモフィラの青を楽しむことができるなんて嬉しいことだ。青い空をバックにした丘陵とは異なるが、都会の一隅に広がる新緑の木立の中の青い絨毯もまた美しい。かつて過ごしたロンドンの郊外、ケントの自宅の裏の森に、この時期になると一面に咲き誇っていたブルーベルの群生を思い出す。ブルーベルの森の散策は、まるでこの世の天国を彷徨っている様な気分にさせてくれたものだ。
BlueBells in Kent, England


 この日比谷公園の真正面に、我が仕事人生を過ごした日比谷本社ビルがある。しかし、ついに昨年暮れにこの建物は閉鎖され、間も無く解体再開発される予定である。日比谷公園を望むビルで仕事した思い出はいつまでも消えない。かつて自分が過ごした思い出の建物が次々に取り壊されてゆくのは時の流れとはいえ寂しいものだ。建学以来100余年の伝統を誇る我が母校の旧本館もキャンパス移転に伴い、その重厚な近代建築遺産が惜しげもなく解体されて更地にされてしまった。文化とアカデミズムの殿堂のはずの大学であるにも関わらずなんという文化リテラシーの低さ、という識者の嘆きを尻目に。歴史と伝統を未来に承継していくということは難しいのであろうか。相変わらず新しいビルを建てたり、広大なキャンパスを新たに造成したりバブル時代の発想の経済エコシステムを信奉している。これからの超少子化高齢化社会、縮小均衡経済に向けて、もっと今あるものを大事に活用することを考えた方がいいのではないだろうか。経済合理性、技術合理性優先のプレハブ構造物は、いずれまた解体されて消えゆくことになる。日本も文化大国になるにはまだまだ修行と覚悟が足りない。「文化財守れる人が文化人」。またしても奈良の今井町に掲げられていた標語が心に浮かんでくる。







松本楼
噴水広場
秋の紅葉も良いが青モミジも美しい
ハナミズキとネモフィラ

旧日比谷本社ビル
間も無く解体再開発される