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2024年10月12日土曜日

ニコン・ミュージアム、創業の地西大井にリニューアルオープン

ニコン・ミュージアム リニューアル・オープン

ニコン本社/イノベーションセンター


2024年10月12日、ニコンの予告通り、西大井、光学通りゆかりの地に新装開業したニコン本社・イノベーションセンターに、ニコン・ミュージアムがリニューアルオープンした。品川からの本社移転のため今年の3月から長期休館していた。早速ご近所さんなので駆けつけた。予告では「開場前、深夜早朝に近隣の道路などで一番乗りを狙って泊まり込んだり、列を作るすることはご遠慮ください」とあったので少々恐れをなしたが、私が出掛けたのは12時過ぎ。土曜日ではあるがそんなに混雑しておらず、ニコンファン、カメラマニア、家族連れなどで賑わっていたが、列を作るほどではなかった。朝イチで並んだ人もいたのだろうか?西大井駅周辺には人を呼べる施設が何もないのでこの「世界のニコン」のミュージアムは新しい「西大井名所」になることは間違いない。カメラマニアのおじさん、おばさんが額をくっつけんばかりにのぞいているカメラショーケースばかりではなく、子供連れの家族が群がる顕微鏡や望遠鏡や光学実験装置も人気だった。

入館するとまず、正面に光学ガラスインゴットがでんと鎮座し異彩を放っている。これは以前の品川時代以来のシンボルである。館内には1300点の製品や技術を展示。なんといってもコンシューマーゾーンの歴代カメラとレンズ群の展示が圧巻である。レンジファインダー機、1948年のニコンI型に始まり、あの伝説の一眼レフニコンFシリーズから最新のデジタルミラーレス、ニコンZ9まで。ニコンの歴史、そしてニコンファンのカメラ遍歴を辿る歴史が長大なガラスケースに展示されている。また、そのガラスは写り込みを防止するコーティングが施された特殊ガラスで、非常に見やすい。さすが光学メーカーだ。また歴代の交換レンズが圧巻だ。スポーツ、報道の現場で活躍した望遠ズームの砲列。数々の名場面、決定的瞬間を切り取った名機のオーラが発せられていている。そのほかプロトタイプ機や、試行錯誤の後を残す試作機、NASA向けのスペースニコンも展示されている。またタッチアンドトライコーナーは最新機だけでなく、往年の名機が手に取って試せるのが良い。展示スペースも従来より約2倍に増えたのでゆったりと見学できる。また半導体ステッパーや半導体用露光装置、測定装置、顕微鏡、天体望遠鏡などのインダストリー向けの展示ゾーンンも充実している。品川の展示では、ニコンの歴史のゾーンで戦艦大和の測距儀の展示があったが、ここでは見えなかったのはなぜ?海軍の日本光学、というイメージを払拭しようと考えたのだろうか。戦後の民生品重視の展示になっているようだ。

このオフィスビル自体、レジェンダリー・ニコンFが開発製造され、F3まで製造された日本光学工業の主力大井工場跡地に開業したもので、まさに創業の地への回帰である。本社機能と研究開発機能が同居するニコン専用の新しいオフィスコンプレックスだ。自然を生かした広々したスペースを重視した低層ビルで環境にも配意した素敵な空間である。ライカが創業の地ウェツラーにライツ・パークを建設して、本社、研究開発、製造機能を集約し、ミュージアムやホテルまで揃え「ライカの聖地」ウェツラーとしてブランド化して「聖地巡礼」観光スポットになっている。ニコンも創業の地、大井町にニコン・パークか、と期待したがそこまでではない。しかし、品川インターシティーのビルの中にあったニコン・ミュージアムが専用ビルの中にゆったりとしたスペースを確保してオープンしたのは嬉しい。カフェバーもあり(この日はまだ開業していなかった)散歩で立ち寄るのにちょうど良さそうだ。ニコンファンの聖地になることは間違いない。しかも単なる企業のPR展示ではなく、長年地域に根ざしてきた日本を代表する企業であり、世界に羽ばたくニコンの貴重な文化遺産施設としての役割を果たすことだろう。(毎週月曜日と日曜祝日が休館。入場は無料)

ちなみに開業初日限定の記念品をゲットできたのは嬉しい。


リニューアル・オープン入場記念メダル
エントランス
開場初日なので献花が見事だ



ミュージアムのシンボル光学ガラスインゴット

1948年の初号機から最新のデジタル機まで、圧巻の歴代カメラ展示ケース

圧巻の歴代ニコン群


もう一つの圧巻は歴代の交換レンズ群


ここから始まったニコン



1948年のニコンレンジファインダーI号機

I型の改良版S

究極の可変型レンジファインダーを搭載したSP
Leica Mを意識した斬新なカメラであったが
これを最後に一眼レフへ転換


一眼レフカメラ ニコンF初号機
「世界のニコン」への第一歩

ニコンF2シリーズ
システムカメラ化志向

ニコンF3のファミリーツリー

ニコマート初号機と8ミリカメラ

インダストリーゾーンへ

半導体露光装置

精密顕微鏡


天体望遠鏡

光学ガラスインゴットの断面






新オフィスビル内散策(一階の一部分のみオープン)





床材には光学ガラスの残欠が散りばめられている。


図書/資料スペース

カフェスペース

マンホールにもニコンレンズキャップ!

ミュージアム・エントランス。



(撮影機材:ニコンへのレスペクトを込めて、Nikon Z8 + Nikkor Z 24-120/4)