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FUJIFILM GFX 100RF (FUJIFILM HPより) |
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レンズフード・フィルターアダプター付き(マップカメラHPより) |
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背面レイアウト |
また、外装はFUJIFILM初のアルミ削り出しの高品位な金属ボディーで、パーツも金属部材にこだわっている。ルックスも掌転がし感も最高のお道具に仕上がっている。シャッターダイアル、露出補正ダイアル、アスペクト比選択ダイアル、マルチファンクションダイアル3個、デジタルテレコン切替レバー、EVF切替レバー、と金属パーツが多用されており、ローレット加工も素晴らしく金属カメラフェチにはたまらない。ボタンやダイアルが多すぎるとクレームするライカユーザのようなミニマルなデザインを好む人には相容れないかもしれないが、ライカ使いでも個人的にはこのメカニカルなデザインも大好きだ。いかにもカメラを操っているという感覚がたまらないのだ。
しかしなんといってもこのカメラの最大のメリットは、ラージフォーマットセンサーの1億200万画素という高画素機であること。そして16bitRaw撮影が可能。ライカのM11, Qシリーズのフルサイズセンサー(いわゆるライカ判)の1.7倍の大きさ、画素数では6000万画素の倍弱だ。データ量が増えても高速の画像エンジンでサクサクとテンポよく処理する。超高解像度、階調豊、高感度耐性、色再現性に優れた中判カメラの世界。それでいて735gという軽さ。これまで中判といえば大型で重い機材に三脚という重武装がつきものであったが、機動性に優れたレンズ一体型カメラにコンパクトに凝縮されわけで、街中スナップ、「ブラぱち」に使えることになった。これは革命的だ。富士フィルム中判カメラのラージフォーマットセンサーサイズは、基本4:3の比率なので標準アスペクト比も4:3になっている(ライカ判フルサイズセンサーは3:2)、従って28mmといっても30mmほどの感覚。ちょっとこれまでの感覚と異なる。もちろん3:2を選ぶこともできる。下記の作例(電車、パンジー)は4:3で撮影している。このように、これだけクロップしてもまだ十分な画素数で画質が劣化しない(ギザが出ない)のが(高画素なので当然と言えば当然だが)驚きだ。デジタルテレコン(クロップ)36mmで6150万画素、50mmで3120万画素、63mmでも1966万画素あるのだから余裕だ。ただ手振れ補正機能がない(小型化とバッテリー消費量セーブのため?)ので気をつけなくてはならない。ラージフォーマットで手持ち撮影。ちょっと心配になるが、ホールドは良いし、アベイラブルライトでASA感度を上げて(ASA6400ではノイズをほとんど感じない)高速シャッター(しかもレンズシャッター)で撮ることができるので、手持ちでもしっかり構えれば夜間撮影などもカバーできそうだ。
最短撮影距離は20cmなのでかなり寄れるが、開放f値が4なので、ボケはそれほど期待できない。近接撮影といえばQ3 28mmマクロが一番寄れる(17cm)し、開放f値も1.7なのでボケ味も美しい。本機はやはり中判カメラなのでテーブルフォトや花の近接撮影よりも、パンフォーカスを使った中・遠景写真、街歩きスナップ、人物写真に向くだろう。とはいっても20cmまで寄れるメリットをどう活かすか。使っているうちに色々な新しい可能性を発見できるだろう。ワクワクする。
そして、当然ながらRAWファイルだと一枚の画像のデータサイズが100MBを超えるなど、データ量が倍増するのでポスプロ用のパソコン、ストレージのグレードアップが必要。カメラ内カードスロットはSDカード用が二口用意されているがカードも十分なメモリーサイズのものが必要だ。カメラ内でのRAW現像とJPEGでの保存もできる。どのようなワークフローで作品作りするか自分なりの流儀を決めておく必要がある。またサイズオーバーでFBやインスタ、このグログにもリサイズしなければ直接アップできない。iPhoneとの連携アプリが便利だが、ダウンサイズする必要がある(アプリにその機能あり)。オールドファンからは「そもそも中判カメラ使って’インスタ映え’か」という声が聞こえてきそうだ。
また、付属品もフジツボ型フード、フィルターアダプター、プロテクトフィルターが同梱されている。これらも金属度が高く、ボディーに劣らない高品位な作り。ただフード、アダプターを装着するとせっかくの薄型ボディーのメリットが失われる、と不満を漏らす人もいるようだが、いやいやこの方がカッコいいし、レンズのプロテクトにもなる。ちなみにこのフィルターアダプターは独特の仕様で、レンズ周りの化粧リングを外し、アダプターを突起に合わせて装着しリングを回して固定する。これがないとフィルターがつかない。その上にフードを装着するので確かに嵩高になる。その代わり、これで防塵防滴性能が確保される。ついでにストラップが肩パット付きのロープに。しかも長さが165cmで斜めがけができる。パーツ、付属品にもこだわるGFX100RFだ。カメラはやはり工芸品的お道具でなくちゃ。ちなみにバッテリーチャージャーは別売りだ。バッテリーの持ちはよく、通常撮影では丸一日持つようだ(まだ試してみてないが)。給電はUSB-Cポートで。最近のデジタルカメラのトレンドに沿っている。
久々に、「おおっ!」という新製品が出てきた。かつて、2010年代に富士フィルムの初代のFinepix X100やX-Pro 1を愛用したものだ。この時もワクワクした。特にフィルムメーカーらしい美しい発色に魅了された。スマホ全盛時代に現在でも6代目のX100VIも人気で品薄状態だが、個人的にはセンサーサイズ(APS-C)で敬遠した。富士フィルムはフルサイズ機のラインアップを持っていないので自分的には徐々に離れてしまった。かといって中判、ラージフォーマットはハードルが高くてこちらも敬遠していた。そこにこのラージフォーマットでコンパクトなGFX100RFが登場してきたわけで、にわかに身近に感じ始めた。操作感やユーザインターフェースはX100シリーズやX-Prosシリーズと共通しているので扱いやすい。早速試し撮りをしたが、なんといっても圧倒的な高精細画像に息を呑む。そして階調が豊か、明暗部共にデータ量が豊富に残っていてつぶれていないのは驚きだ。クロップしても、明暗調整しても画質が落ちないのは余裕のセンサーのためだと改めて納得する。大型センサーをどう生かすか。ポスプロを含め、どのような新たな画作りが可能なのか。レンズ一体型フルサイズセンサーのLeica Q3, Q3 43の好敵手でもある。この「ライカ兄弟」との撮影シチュエーションごとの住み分けも一考の余地がある。そしてコンパクトで取り回しが非常の良いのが気に入った。とりあえずのファーストインプレッションは極めて良い感じなので、これからどんどん使っていこう。手になじみその中から新たな世界が広がりそうだ。
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確かにアダプターリングとフードを装着すると嵩高にはなる |
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Fujifilm初のアルミ削り出しトップカバー |
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Leica Q3(with Hand Grip)との比較 |
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軍艦部比較 Q3より一回りオーバーサイズか。 |
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Leica Q3 43で撮影 このメカニズム感がグッとくる |
主なスペック:
画像センサー:GFX 102MP CMOSII 1億200万画素ラージフォーマット
画像エンジン:X-Processor 5 高速プロセッサー
レンズ:Fujinon Super EBC GF f=35mm 1:4 (35mm換算28mm)単焦点レンズ(8群10枚 非球面2枚)最短撮影距離20cm
シャッター」レンズシャッター+電子シャッター
EVF:0.5型有機EL , 576万ドット、視野率100%
液晶モニター:3.15型 210万画素、アスペクト比3:2 チルト、タッチパネル
メモリーカードスロット:SDカード2スロット
手ぶれ補正機能なし(消費電力セーブと小型化のため?)
内蔵NDフィルター(4段分)
動画撮影 4K
大型リチウムイオンバッテリー:NP-W235 丸一日の撮影可能
給電:USB-C(ファイル転送、バッテリー充電)
外装/デザイン:金属カメラ度満点のアルミ削り出しトップ。パーツも金属で統一
デジタルテレコン切替:45mm (35mm), 63mm (50mm), 80mm (63mm) 括弧内は35mm換算
アスペクト比:4:3を標準に9種類(RAW撮影時には設定不可)
Fujifilmの特色であるフィルムシュミレーション:PROVIA, VELVIAなど20モード
重量:735グラム(バッテリー込み) 中判カメラとしては軽量
サイズ:Q3より一回り大きい 133.5/90.4/76.5
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アスペクト比4:3 28mmフルサイズ |
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上記写真から電車部分をクロップ |
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3:4 28mmフルサイズ |
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上記写真から真ん中のパンジーをクロップ |
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フルサイズ(1:1スクエアー) |
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4:3 28mmフルサイズ |
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スクエアー1:1クロップ近接撮影(20cm) |
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3:4 デジタルズーム50mm相当 |
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4:3 RAWをLRで現像 |
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4:3 JPEG撮って出し |
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4:3 LRでクロップ |
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4:3 RAW LRで現像 |
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4:3 RAW LRで現像 レンズ補正が自動的に適用される |
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4:3 JPEG LRでクロップ 暗部も潰れず階調豊か |